国連職員の給料 管理職・専門職・上級職編

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※2016年4月16日に公開した記事ですが、2017年スタッフルールとレギュレーションの国連事務総長公示により、給料の増減が確認されましたので、2017年9月4日に該当箇所またその他の部分も加筆修正しいたしました。
※2018年4月26日にデータをアップデートし、大幅に加筆修正しました。

国連職員の給料はどれぐらい貰っているのか?

国連職員になった場合、どれぐらいの給料が貰えるのか。国連職員を目指す上でどれぐらいの手取りが貰えるのか気になる方は多いかと思います。

国連には様々なポストがあります。Pスタッフ、Dスタッフ、Gスタッフ、Fスタッフ、NOスタッフなどと内部では呼んでいます。それぞれ専門職(Professional)、管理職(Director)、一般職(General Service)、フィールド職(Field Service)、ナショナルプロフェッショナル職(National Professional Officer)のことをさし、それぞれが別々の給料体系を持っています

今回は、日本人にとって一番国連職員のイメージが強い、専門職・管理職・上級職と分類される人たちの給料を紹介していきたいと思います。また、一般職に関する給料は「国連職員の給料 一般職編」をご覧ください。

 

国連職員の年収は地域や職員のランクにより大きく異なるけれども、東京が勤務地の場合はこれだけ貰える

給料は勤務する地域や職員のランクに大きく依存します。例えば、一番給料の低い地域と高い地域を比べると、同じ職員のランクでも、倍近く年収が異なります。

仮に東京で勤務の場合、国連の専門職員・管理職・上級職の給料は約748万〜2957万円(1ドル110円換算、2018年4月現在。)プラス福利厚生です。実際に詳しく見て行きましょう。

 

国連職員(専門職・管理職)になるために最低限必要な学歴や職歴

これは国連機関によって異なりますが、国連職員になるための学歴や職歴の必要条件があります。国連職員はその分野のプロであることが求められているためです。

求められる学歴

国連職員(専門職及び管理職)になるには修士号以上の教育レベルが要求されます。中には「学士号と関連する職種の経験2年」で修士号と同等と定め、応募を受け付けてくれるポストもありますが、実質的にほとんどの人が修士号を持っていると考えて良いでしょう。

ある職の分野によっては求められる最低条件が異なる場合があります。例えば、軍隊、警察、医者、会議サービスなどです。例えば、医者は修士号以上が必須であり、学士号と職務経験の合わせ技による雇用は認められていません。語学教師などは学士が最低条件になり、職によって様々です。

また、学部卒でありしかも職務経験がなくても国連職員になる制度、ヤング・プロフェッショナル・プログラム(通称ワイピーピー(YPP))が設けられています。この制度は才能溢れる若者を国連が実務を通して一人前の国連職員に育てていこうという制度で、長期間の雇用が期待されます。ただ、競争率が高い(600倍以上)ため、激戦を勝ち抜くだけの書類準備・筆記試験準備・面接準備が必要です。

求められる職務経験

国連職員の専門職や管理職、そして上級職(ASGやUSG)等ランクによって求められる職務経験が異なります。

国連職員のエントリーレベルがP-2ポストとP-3ポストです。エントリーレベルと言っても修士号と勤務経験2~5年以上が必要です(YPPを除く)。外務省国際人事センターが積極的に日本人を国連職員を輩出しようと、国連職員の登竜門であるJPO制度を用意しています。日本人が毎年50名以上がこの制度を利用してJPO国連職員として国連に勤務しています。

http://www.mofa-irc.go.jp/jpo/dl-data/20180324JPOsetsumeikai.pdf

ミドルレベルのP-4、P-5レベルはそれぞれのユニットやセクションのチーフとなるレベルで、勤続年数として7年から10年以上が必要です。特にP-4からP-5になるのに大きな壁があるとされ、競争力がどんどん高まります。

シニアレベルのD-1、D-2は部長クラスで、実質的に国連職員として応募できる最高ランクです。15年以上の経験が必要です。それ以上のエグゼクティブレベルとなると国連事務総長(SG)が関わって来ますので、より政治的な意味合いが関わってくるポストとなります。日本政府の強い後ろ盾が必要なポストです。

下記の表が必要な職務経験年数の目安です。

エントリーレベルミドルレベルシニアレベルエグゼクティブレベル
P-22年以上
YPP未経験可
P-47年以上D-115年以上ASGSGより指名
P-35年以上P-510年以上D-215年以上USGSGより指名

ここで示されている、Pとは専門職(Professional)の頭文字です。Dとは管理職(Director)の頭文字です。YPPは前述の通り、未経験で応募が可能です。詳しくは『国連職員になる方法 後編』をご覧ください。

 

国連職員の年収を計算する

国連職員の年収は、基本給と地域調整額、その他の補助金等で決まります。ここでは基本給と地域調整額を見て行きます。なお、 ボーナスは支給されません 

基本給

基本給は、「ランク」と「ステップ数」で決まります。ランクはP-1からD-2(ASGやUSGなどさらに上のポストもあります)まで、ステップ数は1から13まであります。

ステップ数とはその人の勤続年数によって変わります。一般的には2年ごとに1ステップ(昇給)上がります。つまり、同じランクで働き続けていれば、最大12回昇給することになります。ステップは自動的に更新されますが、ランクは自分で上のポジションに応募しない限りランクを上げることはできません。

下記がの表が基本給です。円は110円で換算しています。

レベル基本給(Gross)ドル
エントリーレベル (P1 – P3)約482〜1055万円43,792〜95,908ドル
ミドルレベル (P4 – P5)約982〜1498万円89,253〜136,203ドル
シニアレベル(D1 – D2)約1388〜1868万円126,150〜169,795ドル
 エグゼクティブ(ASGUSG約1939〜2138万円176,292〜194,329ドル
このソース元は下記のテーブルのGrossからとって来ています。縦軸がポストの「ランク」横軸が「ステップ数」となります。給料は米ドルで表記されています。

 

地域調整額

上記の基本給にプラスし、勤務する地域によって変動するプラスの額が支給されます。地域調整額は、ICSCが毎月その時の情勢により決定します。2018年4月現在の地域調整額を見て見ます。

https://icsc.un.org/resources/cold/par/class/archived/apr2018b.pdf

この中から、勤務地域を選び、その中のMultiplierというところの割合を基本給に掛けたものがスタッフの地域調整額です。この地域調整額は定期的に変わります。例えば、この記事を更新した月(2018年4月)の東京の地域調整額は87%でした。計算式はこうなります。

Annual Salary = Net Income + Net Income * Post adjustment Multiplier

なお、ASGとUSGは場所によってポストがある場合とない場合があります。地域調整額を計算する上での参考としてください。

例:東京で働いた場合の国連職員の給料

仮に日本の東京で働くとどうなるでしょうか?東京の地域調整額は87%です。なお、他の日本の都市ですと広島(62.1%)も乗っています。試しに、東京の水準で計算をして見ます。

レベル基本給(Net)地域調整額 87%合計額
エントリーレベル (P1 – P3)約400〜840万円約348〜731万円約748〜1571万円
ミドルレベル (P4 – P5)約785〜1153万円約683〜1003万円約1467〜2157万円
シニアレベル(D1 – D2)約1076〜1403万円約936〜1221万円約2012〜2624万円
エグゼクティブ(ASGUSG約1450〜1581万円約1262〜1376万円約2712〜2957万円

これをグラフにすると下記のようなグラフになります。

例:ニューヨークで働いたの国連職員の年収場合

ニューヨークですとの地域調整額は66.9%です。これをもとに見ます。

レベル基本給地域調整額 66.9%合計額
エントリーレベル (P1 – P3)約400〜840万円約267〜562万円約667〜1402万円
ミドルレベル (P4 – P5)約785〜1153万円約525〜772万円約1310〜1925万円
シニアレベル(D1 – D2)約1076〜1403万円約720〜939万円約1796〜2342万円
エグゼクティブ(ASGUSG約1450〜1581万円約970〜1058万円約2421〜2639万円

例:一番地域調整額が高いアンゴラで働いた場合の国連職員の給料

一番地域調整額が高いのはアンゴラ(109.8%)となり、大体の給料の目安は下記の通りになります。

レベル基本給地域調整額 109.8%合計額
エントリーレベル (P1 – P3)約400〜840万円約439〜923万円約839〜1763万円
ミドルレベル (P4 – P5)約785〜1153万円約862〜1266万円約1646〜2420万円
シニアレベル(D1 – D2)約1076〜1403万円約1181〜1541万円約2257〜2944万円
エグゼクティブ(ASGUSG約1450〜1581万円約1593〜1736万円約3043〜3318万円

例:一番地域調整額が低いルーマニアで働いた場合の国連職員の年収

一番地域調整額が低いのがルーマニアで9.1%です。これを同じく110円で日本円換算して見ます。

レベル基本給地域調整額 9.1%合計額
エントリーレベル (P1 – P3)約400〜840万円約36〜76万円約436〜917万円
ミドルレベル (P4 – P5)約785〜1153万円約71〜105万円約856〜1258万円
シニアレベル(D1 – D2)約1076〜1403万円約98〜128万円約1174〜1531万円
エグゼクティブ(ASGUSG約1450〜1581万円約132〜144万円約1582〜1725万円

このように、地域によって金額が全然異なり、一番低い地域と高い地域では倍額近くの給料の開きがあります。

国連職員の給料は少ない?

様々なネット記事を見てみると、共通するのは、「語学が堪能であることを要求され、また大学院を卒業していること、また特殊なプロジェクト遂行を要求されることから考えると、国連職員の給料は少ない」ということ。

これは実際に日本人の国連職員の方々に聞いても同様の答えが返ってきます。

いかに良い人材を確保するかという点において給料面は課題が残るそうで、あまり日本人にとって魅力的な給料体系ではないいのではないかと危惧する方もいらっしゃいます。

ただ、本当の国連職員の給料体系の魅力は「給料の額面」というよりかは、 福利厚生まで含めた国連の総合的な待遇の良さ とであると言えると思います。

福利厚生

続いて福利厚生です。これらは上述の給料にプラスして補助されます。そしてこの福利厚生がものすごいです。

  • 賃貸補助・控除(拠点によって家賃はとても高くなりますので、ある方程式に基づいて計算されます。)方程式

    salary x threshold percentage を超過する分の80%(最初の4年)、60%(次の3年)、40%(次の3年)、20%(次の3年)が補助

    例えば、東京で扶養なしで、P-1ステップ1、一年目の勤務の場合。

    年収748万円/12ヶ月 * 28% = 約17.45万円
    17.45万円までは家賃補助なしで、それ以上の場合は、その人の勤続年数に応じて補助されます。
    19万円の家を借りた場合、差額の1.55万円*80%、12400円の補助です。

    そのため、高ければ高い家に住むほど、大きな差額なく住むことが可能です。

  • 超過勤務補助はなし(国連機関によっては補助あり)
  • 夜間手当なし(国連機関によっては補助あり)
  • 扶養手当(扶養手当は、配偶者扶養手当、母子/父子手当、児童手当または二次扶養手当の形で提供されます)配偶者扶養手当は、配偶者がある一定の額以下の収入の際に年収の6%が支給されます。
    例:P-1ステップ1の場合
    748万円 * 6% = 44.88万円母子/父子手当は第一子に対して年収の6%+児童手当が支給されます。
    例:東京P-1ステップ1で子供(18歳以下、もしくは大学に通っている21歳以下)が一人いる場合
    748万円 * 6% + 24万178円= 約68.9万円
  • 教育手当(大学院で25歳まで)
    教育手当に関しましては、図で示したほうがわかりやすいかと思います。仮に年額500万円の学費だった場合に、下記のように336万円の学費補助が出る計算になります。(1ドル110円計算)

    このように、ある一定金額ごとに補助金額が変わります。
  • 障害者手当(児童扶養手当が倍額、および教育手当が最大額補助される)
  • 勤務地が変わった際の渡航費免除
  • 国連休暇(年10日間)
  • 困難手当(働いたり住む環境が厳しい地域での勤務に対する手当)
  • 帰郷休暇(2年に一度。困難地域では1年に一度。海外に勤務している場合、自分の国に家族と共に帰れる休暇、渡航費免除。ただし、自分の有給休暇を使うこと。)
  • 家族訪問手当(家族と一緒に住んでいなかった場合の手当。)
  • 有給休暇60日
  • 病気休暇(働く組織による)
  • 出産・育児休暇(6週間。最大16週間)
  • (男性)育児休暇(4週間。最大8週間)
  • 特別休暇(一部支給・または給与なし。大学院や研究、またその他の特別なケースでの休暇。)
  • 各種保険
  • 国連年金(3割(正確には三分の一)負担。他は国連負担。最後に勤務した5年のうちの一番給料が高かった36ヶ月の給料の平均額で年金額が決まる。)

などなど、様々な福利厚生があります。説明がまだまだ足りていませんので、随時情報を更新していきたいと思います。

まとめ

以上のことから、国連の専門職員Professionalから上の給料は東京で勤務の場合約748万〜2957万円(1ドル110円換算、2018年4月現在。)プラス福利厚生の厚い手当がつくことになります。特に学費補助がすごいですね。給料が高いか低いかの議論はその人個人の主観によるものですから、判断はお任せしますが、データとして公表されているものにこういうのがあるというのを知って頂ければと思います。国際機関に勤めて全世界の平和に貢献するという一大使命がありますが、ご自身のキャリアを形成していく上で、給料も立派な要素であると私は考えていますので、今回この記事を投稿させていただきました。

 

一般職員の給料は?

こちらは専門職員の給与でしたが、下記の記事にて一般職員の給与も書いていますので、そちらも合わせてご参照ください。

国連職員の給料 一般職編


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