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国際機関で働きたいなら海外留学をするべき!?

更新日:

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国際機関で働きたいなら海外留学をするべき

結論から言うと留学した方が国際機関になれる可能性が広がる。

そしてその根拠を、努力をして埋められることと埋められないことがあることを述べたいと思います。(ここは後述)

想定読者

 

  • 将来国際機関に勤めたいと考えている人
  • 将来海外留学をした方がいいのか悩んでいる人

このいずれかに該当する方のためにこの記事を書いています!

この記事で期待できること

 

  • 国際機関での書類上の学歴扱いを知る
  • 国際機関で働く上で、留学をすることの利点を理解する
  • 留学をしなくても、努力で埋められる部分と埋められない部分を理解する
  • 海外に行ったことがない人にとって、どうやって海外へのきっかけを掴むかアイディアを共有。

 

あなた誰?

私は国際連合事務局に4年勤めております。将来国連で働きたいと考えている方に向けて記事を書いています(今ま国連に関する記事だけで100記事以上!)。

国際機関や外務省の情報や、採用試験(受験する立場と採用する立場)の経験を元に執筆してきました。

外務副大臣はじめ、様々な国際機関に勤めている方々と情報交換し生の情報収集も行なっています。

 

国際機関で働くために留学をオススメする根拠(情報のソース)

参考

  • 今まで4年間国連で働いてきた経験から得た情報(主観的)
  • どれぐらいの日本人国連職員が海外留学経験をしたのか調査した結果
  • また周りの日本人国連職員の話を聞いた結果

 

4つの観点から国際機関と留学を考える

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これらの情報をもとに、下記のことについて述べていきたいと思います。

ポイント

  1. 言語からの観点
  2. 国際機関に入ってから役に立つという観点
  3. 国際機関の書類選考で役に立つだろうという観点
  4. 国際機関の日本人職員のほとんどが留学経験者だという事実

以上の点からご説明をしたいと思います。

 

1. 言語からの観点

まず、ここでは当たり前のことを述べますが、留学することで下記の能力を伸ばしやすい環境に身を置けます

  • 外国語で物事を理解すること
  • 外国語で読み書きをすること
  • 外国語で議論をできるようになること

 

とてもベーシックなことですがとても重要です。

どれだけ文献を読み込み、論文を書き、議論し、発表するなどの機会は圧倒的に海外留学の方が多いでしょう。

それに自分で積極的に勉強ができるのでしたら別ですが、環境に影響を受ける人がほとんどだと思います。

細かなニュアンスなども含めて、外国語で理解ができるようになると、後々の大きな強みになります。

ちなみにですが、ネイティブの大学生を調査した結果一日に約16,000語話すそうです(実際には女性平均16,215語、男性は15,669語)。

the daily averages: women at 16,215 words and men at 15,669.

引用元:Gender Jabber: Do Women Talk More than Men?

 

実際にネイティブの人たちがこれだけ話しているのに、これらの人たちと対等に渡り合おうとするなら相当な努力が必要だと思いませんか?

 

2. 国際機関に入ってから役に立つと言う観点

  • 議論力・説得力の強化(タイ人:言葉に伝えられないからこそ、仕事で損するようになる)
  • 違う文化の人と議論をする経験

これは学ぶ国や大学によるかもしれませんが、特に国際機関では「話す力」が重要だと思います。

どれだけ議論ができ、どれだけ相手を説得する力があるのか。

この議論力もしっかりと訓練する必要があります。

そしてその議論力・説得力というのは「自分の文化とは異なる文化の理解」が不可欠です。

 

国連で目撃したこと

私が国連に勤めていて、最近こんなことがありました。

 

 

ある国際会議のセッティングで、無茶な要求をするA国出身の国連職員がおり、それに手を焼いているB国出身の職員がおりました。

その職員はその国柄かあまり強く主張ができない気質ですが、頑張ってその要求はできないことを伝えようとしています。

ただ、どう肯定的に見ても、その主張は相手に響いていません。

同じ国同士であれば、伝わったであろうことが、国際的な環境下では「声として届いていない」のです。

「話す力」はどのように相手に言葉で伝え(英語力)、その根拠や理由を明示し(論理力)、どのようなトーンで誰に話すか(状況観察力)が問われます。

また相手の文化によってアプローチを変えることでその説得の成功率が変わってきます。

 

GEでご経験された飯室さんの話

私が以前一緒に仕事をさせて頂いた、飯室淳史さん、(元GEのグローバルデジタルマーケティングリーダー(digital CMO:全世界のデジタルマーケティング戦略を日本から統括するグローバルリーダー)は「文化の理解」ということに関してこんなことを書いています(飯室さんの連載は是非とも読むべきです)。

そのときに私は、「もう英語よりも相手の文化を尊重できなければ、この先やっていけないぞ」と気づいて愕然とした。渡航前の異文化教育1日コースでは歯が立たない。こっちのメンバーはこれまでずっと多文化の中で生きてきて、仕事をしてきた。各国の文化の違いを理解して尊重するスキルを持ち、そのための行動が身体に染みついているのだ。

このままじゃダメだ。

しかし、そんな私のようなKYを救ってくれるありがたい仕組みがGEにはあったのだ。

引用元:「英語よりもずっと役に立つスキル

GEで結果を残していかなければならないところ、「文化」の理解がとても重要だと言うことに気づいたそうです。

 

こうした文化の違いに基づく行動様式に対しては、どこかの国の文化に強制的に合わせろと命令したり、懇願したりするものではないという。それぞれの文化特性の違いを理解した上で異なる指示を出すことで、自分が期待する結果を得られるように調整する必要があると学んだのだ。

引用元:「英語よりもずっと役に立つスキル

私はこの最後の「文化特性の違いを理解した上で異なるしじを出すことで、自分が期待する結果を得られるように調整する必要がある」という部分は、国連に来てから痛感しました。

同じお願い(指示)をした時に、必ずやる人、必ずやらない人、時間をおいてやる人がいる。

大体国(文化)ごとによって分けることができるのだけども、自分が期待する結果を得るために、言葉や行動を変えて頼みに行く。

こればかりは経験は早めにできると良いと思います。

そう言う観点では、留学は絶好の場ではないでしょうか。

留学の経験で得られる他文化の理解は、国際機関に入ってから必須の大いに役に立つスキルだと思います。

 

3. 国際機関の書類選考で役に立つだろうという観点

留学をすると国際機関の書類選考で役に立つだろうことは下記の項目があります。

  1. インターンの応募等で応募書類を書く経験(しかも周りに相談にのってもらいやすい)
  2. 国際的な経験の有無
  3. リファレンスでその分野の第一人者に頼めるかもしれない

基本的には留学経験が必須とされることは書類上はありません。

ただし留学の経験によって有利に働くパターンもありそうですので、ここで紹介します。

 

1. 応募書類を書く経験とその環境

海外留学をしたら、インターンシップや現地での就職をする機会が出てくるかと思います。

 

この機会自体が貴重です。

 

その際にレジュメやCVを書く経験はその後とても役に立ちます。

と言うよりも、国際機関に勤めていきたいのであれば、この応募書類を作成するスキルは必要不可欠です。

 

下記の記事でも紹介していますが、その際になるべく多くの人にチェックしてもらうのが重要です。

 

CV image
あなたの応募書類を今すぐできる改善方法(レジュメ・CV・PHPの書き方)

レジュメやCV、PHPを書く際に自分でどのようなことが改善できるかを4つの原則、12のルール、2つの改善方法を紹介します。また末尾に19の質問をのせ、自分の応募書類がチェックできるようにしました。一つ一つ時間をかけてあなたの応募書類の合格率をあげましょう。

続きを見る

 

留学した時に、自分の周りの人にどんどんチェックしてもらえる環境はとても有意義です。

現地の企業への応募も含めてPDCAをガンガン回して、応募書類の質を高めます。

日本の場合ですと、日本にいるとそもそも書式が違うので、相談ができる人の絶対数が圧倒的に少なくなってしまいます。

もちろん業者に頼んでもいいのですが、個人的に相談できる人の母数は多ければ多い方が良いです(少なくとも10名できれば50名ほど)。

 

2. 国際的な経験の有無

たまに国際機関の公募で、「国際的な経験の有無」「国際的な環境下での勤務経験」と言った指定が入る場合があります。

あれば加点、なければそのままです。

これは日本でも用意することができますが、限られてきます。

留学をしていれば、言い方次第で国際的な経験とも取れますし、現地のインターン(フルタイムに限る)をしたらそれは立派な「国際的な環境下での勤務経験になるのだと私は思います。

これはアドバンテージです。

 

3. リファレンスでその分野の第一人者に頼めるかもしれない

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最後にレファレンスに関してです。国際機関によっては一番強い理由になるかもしれません。

私は下記の記事を読んで正直驚きました。

国際機関によってこうも違うのかと。

まずは引用させて頂きます。

CVで真っ先に確認するのは、その人のReferenceです。 誰がこの若い人の能力や人格を評価し、かっているのか。誰がこの人が行う仕事の質にお墨付きを与えてくれるのか。 どの組織でもHiring manager(後にその人の上司となる管理職)は、自分が知らない応募者を選ぶことになったら、間違いなく自分が信頼できるRefereesを持っている人しか採りません。国際リクルートであれば、採用して着任させるだけで何百万円もコストがかかるのに、採ってみたら問題児だった、なんて危険は冒せませんからね。

つまり、かけだしの国際協力・開発ワーカーであればあるほど、その人の価値は本人には無く、その人のRefereesにあるのです。

引用元:若手の国際機関就職:あなたの価値は、あなたにはないかもしれない。

 

ただし、確かにこのようにReferenceが重要なことも納得がいきます。

もしかしたら、私の組織でも、レファレンスがめちゃめちゃ重要だと考える人もいるのかもしれません(何しろ公募に出しているけど、ほぼほぼ採用する人が決まっている、なんてことがある世界ですから)。

同じ記事では続けてこう書いています。

私の国連機関での最初の上司でメンターでもある方に教えこまれたBest refereesの選び方は、a. 応募先の組織で管理職以上の人を1人、b. 出身母体(国や業界団体や学会)の関係者で応募先組織に影響力のある人を1人、そしてc. これまで働いてきた途上国の政府・NGO等から偉い人を1人、計3人を明記すること。3人の出身国とジェンダーが違う方が国際機関では評価は高いし、b. c. にその組織の理事会メンバーやドナー側窓口の人がいると追加ポイントが入るでしょう。

引用元:若手の国際機関就職:あなたの価値は、あなたにはないかもしれない。

これを有力な大学院に留学することで、Referee b.になりそうな教授、そして公費留学で途上国から来る学生は将来のReferee c.になるのではないかと。

めちゃめちゃ参考になるので、この元記事を是非一度読んでいただければと思います。

 

4. 国際機関の日本人職員のほとんどが留学経験者だという観点

私の周りにいる日本人国連職員は(話を聞いてみると)例外なく海外の大学院か大学に行っています。

実際に調査をしてみました。

 

注意ポイント

n=80

海外留学経験者 = 86.25.%

n=200

海外留学経験者 = 88.0%

日本国内のみ博士号保持者 = 45.8%

全体の博士号保持者 = 15%

日本大学のみの経験者は政府機関からの出向が多い傾向にあるので、純粋に公募やJPO、競争試験、YPPなどから合格した人は海外留学経験者がほとんどであると言えそうです。

また、日本国内のみですと博士号保持者の確率が一気に高まります。

そう考えると、国連職員になる上で海外留学経験が役に立っている部分があると考えてもいいのではないでしょうか。

実際に、ローカルスタッフ(高卒以上が応募条件)でも、海外の大学院を卒業したと言う人がたくさんいます。

この事実を鑑み、真似できる部分はしっかりと真似をして、確率を上げることは必要だと思います。

 

努力で埋められる部分と努力で埋められない部分

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努力で埋めらえる部分

この中で努力で埋められるものはなんでしょうか。

ポイント

  • 語学力
  • 議論・交渉力
  • 文化理解
  • 応募書類のスキル
  • 国際経験

ここで述べたことほぼ全てです。

 

え、と思われた方が多いのではないでしょうか。

 

語学力は海外留学しなくても、努力次第であげることが可能なのは言うまでもありません。

議論や交渉力も、そのような機会を見つけ(例えばトースト・マスターズ)しっかりとスキルを磨くことは可能でしょう。

文化理解は、日本に来ている外国の方々と接する機会を意識的に増やすこと。

ただ、日本に来る外国人は、もともと日本のことを好意的に見ている人が多いことが考えられるので、深い文化理解を行うにはかなり努力が必要かと思います。

応募書類の作成スキルは、業者にコンサルティングしてもらうのが一番近道かもしれません。

最後の国際経験は、日本でも可能です。

例えば、国連でインターンとして働く、もしくは英語しか使わないような外資系の会社で働く、上智大学比較文化などネイティブや帰国子女がいくような大学に行くといったことです。

 

ここら辺はしっかりと自分で努力をしようと思えば、できなくもありません。

ただ、相当強い意志が必要だと個人的に思います。

 

努力で埋められない部分

ポイント

  • 業界の第一人者に教わる経験

 

これは日本でも可能な分野と可能ではない分野とあるので、あえて努力で埋められない部分としました。

国際的にその業界の第一人者だと言われている日本人も海外の大学に勤めてらっしゃる方が多いのではないでしょうか。

影響力のある方に教わることができるかしっかりとリサーチをしていただければと思います。

 

海外留学のコツ!?

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最後に海外留学のコツをお伝えしたいと思います。

高校を卒業をし、すぐに海外の大学に行ける人と、どうしても事情的に厳しい方がいると思います。

特にいきなり海外留学できない方(準備がそもそもできない方、精神的に物怖じしてしまう方)のためにいくつか考えました。

在学中の学校での交換留学プログラム

これは今在学中の学校で行える方法です。短期で留学をすれば良いのです。

短期ならばハードルも低いでしょう。

  • (高校生)高校在籍中に、1年間交換留学する(交換留学プログラムがなければ、別の制度を使って留学する)
  • (大学生)大学が用意している交換留学制度を使って、留学する

 

進学する先で選択肢を広げる

進学先で留学のハードルを下げることで、留学へ行きやすくします。

  • (高校生)早稲田大学国際教養学部のように海外大学留学が必須の大学に進学をし、1年間海外留学して、ハードルを低くする
  • (中学生)国際バカロレア制度を採用している高校に進学する

 

国際バカロレアは、そもそも高校卒業してから海外の大学に行くのが前提にあるような制度ですから、同じ仲間とともに切磋琢磨しながら海外の大学を目指すのはとても刺激的だと思います。

 

私個人的には、国際機関に働いている人を多く輩出している、東京都立国際高等学校への進学をお勧めしています。

国際バカロレア制度も完備しています。

 

まとめ

この記事を通して、留学をした方がいい点がご理解いただけたのではないかと思います。

留学をすればどこの大学でも良いわけではありませんが、国際機関に働くことを考えているのであれば、積極的にご検討いただければと思います。

以上「国際機関で働きたいなら海外留学をするべき!?」でした

 

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亀山 翔大

東京都出身。劇団四季俳優、日本IT企業CTO(最高技術責任者)、国連防災世界会議ITコーディネーター、Fintech企業のKyashを経て、国際連合に勤める。国連ICT戦略推進、リージョナルセンター設立、コンプライアンス、セキュリティ強化など様々なプロジェクトを手がける。 各国連組織にある求人情報を一括取得し、自分で管理するお手伝いをするサービス、https://unjob.site を運用中。

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