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2019年度ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)の開催決定。応募分野と対策。【大幅加筆修正】

毎年恒例の試験がやってまいりました。国連の新卒採用的な制度であるヤング・プロフェッショナル・プログラム(通称YPP/ワイピーピー)の募集が始まりました。ほとんどの国連職員のポストで修士号が求められる中、学士号でも受験することのできる制度です。

この試験に合格をして実際に職員になると、YPPスタッフとして世界二箇所をローテーションして働くことができます。また、ほぼほぼ終身雇用であるため、失業する心配がありません(国連でずっと働き続けるのはとても難しいので、この制度の恩恵を受けることができると自分の人生設計をしやすくなります)。

応募資格

応募資格は例年通りです。

You must have the nationality of a participating country.
You must hold at least a first-level university degree relevant for the exam subject you are applying for.
You must be 32 or younger in the year of the examination.
You must be fluent in either English or French.

  1. YPP参加国の国籍を有すること
  2. 関連する分野で大卒(学士号)資格を有すること
  3. 32歳以下であること
  4. 英語もしくはフランス語に堪能なこと

であります。まず1点目に関しては、下記の参加国一覧をご覧ください。全部で60カ国あります。

Afghanistan, Andorra, Angola, Antigua and Barbuda, Bahrain, Belarus, Belize, Brazil, Brunei Darussalam, Cabo Verde, Cambodia, Central African Republic, China, Comoros, Cyprus, Democratic People’s Republic of Korea, Dominica, Equatorial Guinea, Gabon, Grenada, Guinea-Bissau, Indonesia, Iran (Islamic Republic of), Japan, Kiribati, Kuwait, Lao People’s Democratic Republic, Lesotho, Liberia, Libya, Liechtenstein, Luxembourg, Marshall Islands, Micronesia (Federated States of), Monaco, Montenegro, Mozambique, Nauru, Norway, Oman, Palau, Papua New Guinea, Qatar, Republic of Korea, Saint Lucia, Saint Vincent and the Grenadines, Sao Tome and Principe, Saudi Arabia, Solomon Islands, South Sudan, Suriname, Syrian Arab Republic, Thailand, Timor-Leste, Turkmenistan, Tuvalu, United Arab Emirates, United States of America, Vanuatu, Venezuela (Bolivarian Republic of)

今年も日本は参加国に入りますので、日本国籍を有していれば一つ目の条件はクリアです。2の関連する分野は後述します。3の年齢制限に関しては2019年12月31日までに32歳以下であることが条件です。4は実際にTOEICやTOEFL、IELTSのようなスコアを提出する必要はないので、実際にあってないような基準だと私は考えています。

募集分野

今年は二つの分野で募集しています。

  1. Economic Affairs (経済情勢): JO # 116937
  2. Information Systems and Technology (情報システム技術): JO # 116954

これらに関連する学士号の学歴が求められます。実際にこれらの分野で必要な学歴は募集が開始した際に発表されます(下記必要学歴更新)。

※2019年6月15日更新

各ポストの詳細は上記のリンク(JOナンバー)をクリックしていただければ、各応募要項をご覧いただけます。

必要学歴

※2019年6月15日更新

Economic Affairs(経済情勢)

経済情勢の分野で必要な学歴は経済学、社会行動科学、数学と統計、ビジネス管理、環境保護、農林水産業かそれに近い学位です。

応募の際は、 “Field of Study” と “Main Course of Study”にて必ず「Economics, Social & Behavioural Science; Mathematics & Statistics; Business & Administration; Environmental Protection; Agriculture, Forestry & Fishery」のいずれかを選んでください

Otherを選んぼうものなら、書類選考で落ちます。

At least a first-level university degree (i.e., Bachelor’s degree or an equivalent degree of at least three years) in an area of study relevant to Economics. Degrees accepted must be in one of the following areas (to be selected from the “Main Course of Study” dropdown menu):
経済に関連する大学卒の学歴が最低限必要。下記のうちの一つのエリアの学位が認められる。(”Main Course of Study”のドロップダウンメニューで選択すること)。

Social & Behavioural Science; Mathematics & Statistics; Business & Administration; Environmental Protection; Agriculture, Forestry & Fishery
社会行動科学、数学と統計、ビジネス管理、環境保護、農林水産業

Inspiraの2019 YPP Exam: Economic Affairs (for external applicants), P2より

Information Systems and Technology(情報システム技術)

情報システム技術で必要な学歴は情報システム技術、コンピューティング、数学と統計、エンジニアリングとEngineering Trades(すみません適切な訳がわかりません)、ビジネス管理かそれに近い学位です。

応募の際は、 “Field of Study” と “Main Course of Study”にて必ず「Information Systems Technology, Computing; Mathematics & Statistics; Engineering & Engineering Trades; Business & Administration」のいずれかを選んでください

Otherを選んぼうものなら、書類選考で落ちます。

At least a first-level university degree (i.e., Bachelor’s degree or an equivalent degree of at least three years) in an area of study relevant to Information Systems & Technology. Degrees accepted must be in one of the following areas (to be selected from the “Main Course of Study” dropdown menu):
情報システムテクノロジーに関連する大学卒の学歴が最低限必要。下記のうちの一つのエリアの学位が認められる。(”Main Course of Study”のドロップダウンメニューで選択すること)。

Computing; Mathematics & Statistics; Engineering & Engineering Trades; Business & Administration
コンピューティング、数学と統計、エンジニアリングとEngineering Trades、ビジネス管理

Inspiraの2019 YPP Exam: Information Systems & Technology (for external applicants), P2より

必要な職歴

※2019年6月15日更新

YPPでは職歴の有無は必須ではありません。ただし、今年からルールが変わりました。

No work experience is required. Relevant work experience may be taken into consideration as an additional screening criteria when more than 60 candidates from the same country apply to the same exam area.
職歴は必須ではありません。関連する職種が考慮に入れる場合があります。それは同じ国から同じ科目の応募者が60名を超えた場合に、書類選考の一つの基準として職歴を考慮します。

Inspiraの2019 YPP Exam: Information Systems & Technology (for external applicants), P2より

もしかしたら、前からこの基準はあったのかもしれませんが、明文化されました。もしインターンの経験も含めて働いた経験があるようでしたら、記述しましょう。

応募時期

応募期間は2019年6月から7月です。近々YPPの応募が開始されるかと思いますので、YPPの情報更新ページを定期的にチェックしましょう。

※2019年6月15日更新

応募締め切りは2019年7月21日です。

書類審査

2019年7月から10月にかけて書類審査が始まります。ここでは例年と同じであれば、各YPP参加国最大40名まで書類選考を合格します。つまり60カ国 x 40名で最大2400名まで絞られます。

今年は傾向が変わったようです。

今年は書類選考合格者は各国60名までです。

また、60名以上の応募があった場合は、「学歴、言語、関連する職歴」でトップ60名が選出されます。

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つまり、学歴を考慮に入れる場合。

博士号 > 修士号 > 学士号

職歴を考慮に入れる場合。

関連のある分野の仕事をどれだけ行っているのか。

語学力を考慮に入れる場合。

他の国連公用語がどれだけ話せるか。

といった基準で考慮に入れられると予想します。

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日本人での応募はあまり多くないと聞いていますので比較的書類審査は通過しやすいと考えています。

とはいえ、しっかりと書類対策をしましょう。国連ではPersonal History Profileという書類を書くことになります。早めに準備をしましょう。また、一度書きましたら「あなたの応募書類を今すぐできる改善方法(レジュメ・CV・PHPの書き方)」の記事を読んで自分の記事をチェックしましょう!

関連記事 >> 「あなたの応募書類を今すぐできる改善方法(レジュメ・CV・PHPの書き方)

筆記試験

2019年11月から2020年3月の間に筆記試験、および試験結果が出ます。近年オンライン試験が導入された関係で、今年の試験はオンラインで行うことが予想されます(※オンライン試験になることが確定しました。)。オンラン試験導入から日が浅いため、再試せざるをえない人が出た過去があります。今年はうまく行くことを期待します。

※以下2019年6月15日更新

今年はオンライン試験が二回行われるようです。

試験の日程と試験構成

試験は二回行います。今年は、今まで一回で行ってきた試験を二回に分けておこなうようです。そのため、試験内容にしっかりと集中できるため、例年よりも準備がしやすいと言えます。

1回目:2019年11月初旬

1回目の試験は11月の初旬に行われます。詳細な日程はUN Careers YPPページにて発表されます。

1回目の試験は二つのパートに分かれています。

パート1:the General Paper

この試験ではWritten Communicationや国際情勢でのコンテキストで働くのに必要不可欠な素養や能力をみる試験です。(例年、文章の要約問題であ利ましたが、この内容だけではまだわかりません)

パート2:the Specialized Paper

その試験分野における知識に関する選択式の問題です。

2回目:2019年12月中旬

2回目の試験は1回目の試験合格者の身が受験できます。試験日は12月中旬です。この試験では、1回目と同様のthe Specialized Paperに関する問題です。

the Specialized Paper

自由記述で、試験分野に関する知識をみる試験です。自由記述のため、いかにうまく構成した文章を用意することができるのかが求められます。

The written examination is planned to be offered in two parts, with the following tentative timeframe (exact dates to be announced on the UN Careers YPP Page):
• Part I in early-November 2019 – consists of 1) the General Paper, which assesses written communication and other competencies and abilities critical to success in working in an international affairs context, and 2) first part of the Specialized Paper, multiple choice questions which assess knowledge and attributes relevant to the exam area.
• Part II in mid-December 2019 – consists of the second part of the Specialized Paper, constructed response items (i.e., open-ended questions) which assess knowledge and attributes relevant to the exam area. Only examinees successful in part one of the online exam will be invited to participate in the second part.

Inspiraの2019 YPP Exam: Information Systems & Technology (for external applicants), P2より

 

筆記試験の環境に関して

The written examination will be conducted via an online testing platform. Candidates convoked for the written examination will be responsible for identifying and securing a location suitable for them to complete the examination (i.e., a computer with a reliable internet connection). Further information regarding the online testing platform and exam preparation guidance will be provided to those convoked for the examination.

オンラインのテストプラットフォームで筆記試験が行われます。候補者はオンライン試験を行うためのしっかりとした場所の確保をする責任があります。例えば、しっかりとしたインターネット接続が確立された環境でのコンピュータの用意です。オンライン試験のさらなる詳細と試験ガイドに関してはその対象者に通知されます。

Inspiraの2019 YPP Exam: Information Systems & Technology (for external applicants), P2より

以上のように、しっかりとテストが受けられる安定したインターネット接続ができる環境とパソコンをご用意ください。

 

面接試験

2020年4月から6月の間で面接試験があります。面接の結果もこの期間で出るようですが、過去には8月ごろに発表ということもありましたので、これは変わるかもしれません。

試験対策

第一回と第二回に分かれていますので、試験対策が例年よりもしやすくなっているかと思います。

1. まずはAction Verbを使って英文が効果的にかけるようにする

Action Verbs List
これがActionVerbです。これらの単語を使えるように日々意識的に使っていきましょう。

試験対策は、まずはしっかりとした英語の文章を論理的にかけるように練習する必要があります。またなるべくAction Verbsを使って効果的に使えるように訓練することが重要です。

2. 要約問題は量と質の練習を効果的におこなう

英語文章の要約問題は様々な練習方法があります。国連の様々な機関が行なっている活動のオンライン文章がネット上にたくさんありますので、それを使ってひたすら要約の練習をしましょう。要約の練習も二種類あると思っています。

  1. 本番を想定した制限時間内で要約する練習をひたすらやる。(いわゆる量をこなす)
  2. 一度行った要約で、どういった改善点があるのか、時間をかけてもいいから一文ずつ(単語レベルで)改善する。辞書等を使ってもいいので、どんな言い回しがあるのかバリエーションを増やす。4時間半も何かしらの文章を書き続けることになるので、自分の言い回しのバリエーションが少ないと苦労する。(質の向上)

1つ目は自分の問題に対する瞬発力(スピード)の向上、二つ目は自分の引き出し(キャパシティ)の向上に効果的です。

繰り返しますが、とにかく書いて書いて書きまくりましょう。練習こそが一番の近道です。

3. 各科目はそれぞれの大学院レベルの教科書をおさらい

学士レベルでも受けることができますが、最低でも学士レベルの教科書は全部おさらいし、可能であれば大学院レベルの教科書も読んでいきましょう。大学院レベルの知識を持っていると、試験自体はそこまで難しくないと感じると思います。あとは、自分の文章力・論理力が重要になってきます。

Information Systems and Technologyに関しては、ITILも勉強すると良いと思います(ついでに資格も取ると将来的にいいかも)。この分野のYPP合格者はひたすらITILの勉強をすすめていました!また「私のESCAPでの仕事内容。国連ICT戦略を遂行して国連を裏から支える」や「国連採用試験(YPP)対策 その1」の記事で紹介されている国連文章や書籍も目を通しておくと良いかもしれません。

関連記事 >> 「私のESCAPでの仕事内容。国連ICT戦略を遂行して国連を裏から支える
関連記事 >> 「国連採用試験(YPP)対策 その1

4. 国連のポータル側でリーディングリストが発表されるので、そのリーディングリストはしっかりと目を通す

書類選考が終わった後に、リーディングリストが発表されると思うので、そのリーディングリストはしっかりと目を通しておきましょう。

書類選考が終わったあたりで、なるべく頻繁に国連のCareers UN YPPのページをチェックするようにしましょう。意外とたくさんの文章量を読まなければならないので、「3.各科目はそれぞれの大学院レベルの教科書をおさらい」をなるべく早いうちから取り組んでおき、リーディングリストに備えるための時間をあけておくと良いかと思います。

また、国連の総会で決議された文章等も読んでおくといいと思います。

5. 4時間半を集中できるようにトレーニング長時間の試験でも乗り越えられるように訓練

YPPの試験は長丁場です。4時間半あります。4時間半(今年より二回に分かれたので、一回あたりの試験は短くなるかもしれません。それでも長時間集中できるように訓練することは必要だと個人的に思います)集中力が持続できるように、トレーニングする必要があります。私は当時、二週間〜四週間に一回3時間の筆記試験を受けていたので、4時間半になってもそこまで苦ではありませんでした。人によってはいきなり4時間半も集中できない(頭がぼーっとしてくる)人もいるでしょう。

これは体の慣れが必要なので、ひたすら文章を書き続ける練習など通して、体を慣らしていきましょう。私はいつもスニッカーズを試験の時に食べて集中力を持続させています。

6. パソコンのタイピングの練習をしておくといいかも

これはオンライン試験に備えた練習です。特に試験1回目のthe General Paperと試験2回目のthe Specialized Paperの二つで必要なタイピングの技術です。

特に普段パソコンを使わない方は、このタイピングの練習をしっかりとしておきましょう。理想はブラインドタッチでもミス少なく早くタイピングができることです。

ちなみに最近タイピング練習(英語)で測ったら、英語の打鍵数は300字/分でした。私は平均よりも打鍵数は高いと思いますが、早ければ早いほど問題に集中できると思いますので、練習することがオススメです。

各キーの位置を覚えよう!」にどのいちに手をおき、どの指でどのキーを押すといいのか書いてありますので、ご参考になさってください。

この指の位置を覚えると格段にタイピングのスピードが速くなりますよ。YouTubeでもタイピングのコツみたいな動画を書いてあるでしょうから、そちらも探してみてください。

7. 他の人のYPP体験記を見て状況を想像できるようにする

私も過去にYPPの試験を受けたことがありますが、「国連のYPP筆記試験を受けてきました(2017年度)」の記事や「ヤング・プロフェッショナル・プログラムの受験体験記を書いている記事まとめ」の記事をご覧になっていただき、それぞれどんな対策をしたのか等情報収拾すると良いと思います。

関連記事 >> 「国連のYPP筆記試験を受けてきました(2017年度)
関連記事 >> 「ヤング・プロフェッショナル・プログラムの受験体験記を書いている記事まとめ

簡単に対策方法を書きましたが、今後の受験生のお役にたてば幸いです。

国連に興味を持っている方は

また、国連で将来的に働きたいと考えている方は「国連職員になるには」の記事をご覧ください。特に国連職員になりたいけど、何を知るべきかわからないという方に向けて書いています。

関連記事 >> 「国連職員になるには

以上、「2019年度ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)の開催決定」でした。

亀山 翔大
亀山 翔大
東京都出身。MBA。Project, Program, Portfolio Managementを専門。PMOとして働きつつ、イギリス大学院でサイバーセキュリティを学ぶ。前職である国連にて国連世界ICT戦略遂行、国連グローバルPMO推進。UN KUDOS! Award 2019優勝。プロジェクト(プログラム)マネジメント(PRINCE2/MSP)、サイバーセキュリティ(NIST CSF)等の資格を有する。 プロフィール詳細はこちら

2 コメント

  1. 亀山様
    いつも大変参考になる情報を発信してくださりありがとうございます。今年度のYPPのManagement&Administrationを受けることを考えている者です。こちらの記事中にある、「各科目はそれぞれの大学院レベルの教科書をおさらい」という点について、亀山様も以前MAGNETでYPPを受験されたことと思うのでその際にはどういった教科書を使って勉強されたのか、差し支えなければ教えていただけないでしょうか。ご検討いただけましたら幸いです。

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