JPO派遣制度とは
現在日本人にとって正規国連職員になるための登竜門的な制度があります。
「Junior Professional Officer(JPO)派遣制度」です。一般的にはJPOとよばれています。
日本政府が費用を負担して、日本人を一定期間、国際機関に「職員」として派遣する制度で、正規職員になる大きな大きな一歩を踏み出すことができます。
実際にJPO派遣制度をとおして多くの日本人国連正規職員を輩出しています。「JPO派遣制度説明会資料」によると800名近くいる日本人職員のうち4割以上がJPO出身とのことです。国連正規職員はJPO出身者が多いことから、登竜門とよばれているのでしょう。
関連リンク >> 「JPO派遣制度説明会資料」
外務省国際機関人事センターの正式な説明は下記のような形になります。
外務省では,将来的に国際機関で正規職員として勤務することを志望する若手日本人を対象に,日本政府が派遣にかかる経費を負担して一定期間(原則2年間)各国際機関で職員として勤務していただくことにより,国際機関の正規職員となるために必要な知識・経験を積む機会を提供し,ひいては派遣期間終了後も引き続き正規職員として派遣先機関や他の国際機関に採用されることを目的として,JPO派遣制度を実施しております。
外務省国際機関人事センター「JPO派遣制度とは」より
現在、国連では日本政府の負担金に対する国連職員の人数が基準を下回っています。
日本はUnderrepresented Member Statesの分類に入り、より多くの日本人国連職員が採用さることが好ましいと言われています。
JPO派遣制度で求められる分野
JPO派遣制度で求められる分野は、その国際機関が募集するJPOポストによって毎年異なります。
そのJPOポストは開発、人道、平和構築、環境等のプログラム系の分野から、IT、会計、財務、法務、調達等のバックオフィス系の分野など様々な分野をカバーしています。
国連をはじめとする国際機関では,開発,人権,人道,教育,保健,平和構築等の分野に加え,IT,ロジスティクス,調達,法務,財務,広報(渉外関係),人事,会議管理,モニタリング評価(M&E),環境,工学,理学,農学,薬学,建築,防災等の分野のバックグランドを有する人材が広く求められています。外務省としても,これらの分野で活躍する人材をJPOとして積極的に派遣したいと考えております。
外務省国際機関人事センター「JPO派遣制度とは」より
JPO派遣される国際機関
では実際にどの国際機関にJPO派遣されるのでしょうか。
おそらくこの記事をご覧になる方のほとんどは国連システムに含まれる国際機関の数に驚かれるかもしれません。
国連広報センターの作成した国際連合システム図をみながら、下に書いたJPO派遣の対象となる国際機関のリストを確認してください。
かなり長いリストなので先の文章が気になる方は一気に飛ばしてください。
JPO派遣対象機関:【国連事務局】
- 国連事務局の各部局
- ESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)等地域委員会
国連事務局の各部署とは、経済社会局(DESA)、フィールド支援局(DFS)、管理局(DM)、 政治局(DPA)、 広報局(DPI)、 平和維持活動局(DPKO)、人道問題調整事務所 (OCHA)、軍縮部(UNODA)、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、国連ジュネーブ事務所(UNOG)、国連ナイロビ事務所(UNON)、 国連パートナーシップ事務所(UNOP)、国連ウィーン事務所(UNOV)等多くの部局が存在します。
地域委員会とは、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の他、ヨーロッパ経済委員会(ECE)、ラテンアメリカ・カリブ経済委員会 (ECLAC)、西アジア経済社会委員会 (ESCWA)といった機関があります。
[/st-mybox]
JPO派遣対象機関:【国連総会決議に基づき設置された機関】
- UNCTAD(国連貿易開発会議)
- UNDP(国連開発計画)
- UNEP(国連環境計画)
- UNFPA(国連人口基金)
- UN-HABITAT(国連人間居住計画)
- UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)
- UNICEF(国連児童基金)
- UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)
- UNV(国連ボランティア計画)
- WFP(国連世界食糧計画)
- UN Women(国連女性機関)
- ITC(国際貿易センター)
JPO派遣対象機関:【国連の専門機関】
JPO派遣対象機関:【その他の国連関係機関】
- IAEA(国際原子力機関)
- CTBTO・PTS(包括的核実験禁止条約機関準備委員会暫定技術事務局)
- ICC(国際刑事裁判所)
- IOM(国際移住機関)
- UNAIDS(国連合同エイズ計画)
- UNITAR(国連訓練調査研究所)
- UNOPS(国連プロジェクト・サービス機関)
- UNFCCC(気候変動枠組条約事務局)
JPO派遣対象機関:【その他の国際機関】
- OECD(経済協力開発機構)
- IEA(国際エネルギー機関)
- IRENA(国際再生可能エネルギー機関)
JPO派遣制度:募集時期
過去のJPO派遣制度の傾向を見てみると、基本的には年に一度大きな募集が4〜5月ごろにあり、年明けの1月〜2月に追加募集があります。
- 4〜5月 ➡︎ 大きな募集(ほとんどの人はこのJPO派遣制度に応募する)
- 1〜2月 ➡︎ 追加募集(少人数の採用)
上記の4〜5月、そして1〜2月ごろになったら、定期的に「外務省国際機関人事センターのホームページ」にアクセスすることをオススメします。
関連リンク >> 「外務省国際機関人事センターのホームページ」
JPO派遣制度:応募資格
JPO派遣制度に応募するには、下記の条件を満たす必要があります。
- 35歳以下であること
- 外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関の業務に関連する分野の修士号を取得していること(もしくは取得見込みであること)
- 外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関の業務に関連する分野で2年以上の職務経験を有すること
- 英語で職務遂行可能であること
JPO派遣制度の難易度
JPOの難易度はまずは、下記の「合格者数および倍率」と「求められる英語力」をみてください。
JPOの難しさの一つは、修士号を取得していることであると思います。
長期的な計画を持って、一貫性のある「学歴と職務経験」を持って頂ければと思います。「国連職員になるには」の記事も併せてお読みください。
関連記事 >> 「国連職員になるには」
JPOの難易度:2017年合格者数および倍率
2017年度は受験者323名に対して、合格者が57名だったようです。約6名に1人が合格している計算になります。
JPOの難易度:求められる英語力
JPO派遣制度ではTOEFLもしくはIELTSのスコア提出が求められています。だいたいの目安として、TOEFLで100点、IELTSで7点以上を目安に準備をすると良いかと思います。
2017年度JPO試験(追加募集試験を除く。)の最終合格者のうち、 TOEFLテストで受験した最終合格者のスコアは平均104.6点(最低点 90点、最高点119点)、IELTSで受験した最終合格者のスコアは平均7. 2点(最低点6.0点、最高点8.5点
これらの条件を満たすために、長期的な計画で一貫性のある「学歴」と「職歴」を取得し、英語のスコアを高めましょう。
外務省は「過去の筆記試験問題」を公開していますので、過去問をもとに対策をたてましょう。外務省JPO派遣制度の筆記試験は「論述問題」です。過去問を読んでいただければわかりますが、必ず一問は誰でも答えられる問題がはいっていますので、あせらずに練習をしましょう。
国連に興味を持っている方は
国連で将来的に働きたいと考えている方は「国連職員になるには」の記事をご覧ください。特に国連職員になりたいけど、何を知るべきかわからないという方に向けて書いています。また、「JPOの給料(年収)は国連のP-2に相当する額が支払われます|P-2とは」ではどれぐらいの給料が入るのか述べていますので、そちらも併せてお読みください。
関連記事 >> 「国連職員になるには」
関連記事 >> 「JPOの給料(年収)は国連のP-2に相当する額が支払われます|P-2とは」
他にも様々な記事を書いていますので、このブログ内にあるコンテンツに色々目を通していただければと思います。
以上「JPO とは国連職員になる上での登竜門的な派遣制度」でした。