前回のおさらい
前回の記事「国連の仕事はどこで見つけることができるか」、どうやって求人情報などを探すか簡単に書きました。
関連リンク >> 「国連の仕事はどこで見つけることができるか」
国際事務局であれば「インスピラ(inspira.un.org)」で公開されています。また、FacebookやTwitter、メールで外務相国際機関人事センターがまとまったポスト情報(インターナショナルポスト)が公開・配信されます。
国連職員になる方法
日本人にとってみれば、大きく分けて三つの方法があります。(上級役員など政治的に決まるポジションはここには含めません)。
- 空席ポストに直接応募する
- JPO派遣制度に応募する
- YPP試験に応募する
前編では、二つの方法「空席ポストに直接応募する」と「JPOポストを利用する」をご紹介します。
国連職員になる方法その1:「空席ポストに直接応募する」
これが一番一般的な方法かと思います。応募するにあたって国籍や年齢等の制限が特にありません。公募されているポストの条件さえ満たせれば、誰にでもチャンスがあると言えるでしょう。
空席ポストは「国連の仕事はどこで見つけることができるか」で紹介しているように、ポストによっては募集期間が一週間しかない場合もありますので、こまめにチェックするか、Inspiraサイトで希望の条件にあったポストをアラートメールで送れるように設定することが重要です。
関連リンク >> 「国連の仕事はどこで見つけることができるか」
※2017年1月7日追記:なお、Inspiraは国連事務局の求人及びトレーニング等のポータルサイトで、他の国連組織のポスト(例:UNDP、UNFPA、WHO、UNICEF等)はこのInspiraのサイトでは応募できません。
空席ポストを探すのは大変なので「UN Job Site」を使って仕事を探しましょう
国連事務局だけであれば、インスピラのサイトだけをチェックすれば良いのですが、UNDP、UNESCO、UNICEF等の他の機関を含めて探すとなると、とても大変です。
それぞれの国際機関がそれぞれの採用サイトを持っている為です。
この探す手間を抑えるために、「UN Job Site」を開発しました。「国連の仕事探しや就職準備のお手伝いをするウェブアプリケーションを作成しました」の記事の表題にもあるように、簡単に多くの国連ポストを見つけることができます。
関連記事 >> 「国連の仕事探しや就職準備のお手伝いをするウェブアプリケーションを作成しました」
国連職員になる方法その2:「JPO派遣制度に応募する」
Junior Professional Officerの頭文字をとってJPOと呼ばれていますが、日本人にとって一番国連職員になれる確率の高い制度ではないでしょうか。
外務省では,将来的に国際機関で正規職員として勤務することを志望する若手日本人を対象に,日本政府が派遣にかかる経費を負担して一定期間(原則2年間)各国際機関で職員として勤務していただくことにより,国際機関の正規職員となるために必要な知識・経験を積む機会を提供し,ひいては派遣期間終了後も引き続き正規職員として派遣先機関や他の国際機関に採用されることを目的として,JPO派遣制度を実施しております。
JPO派遣制度は、国際機関における日本人職員の採用促進を目的として、外務省が主催しています。1名の派遣に1年間で1千万円以上の派遣費用がかかるそうです。国連ではなく、日本政府が派遣生の給与含めた費用を全て負担しています。
応募資格
JPO派遣制度に応募するには下記の条件を満たしていることが求められます。
- 35歳以下であること
- 外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関の業務に関連する分野の修士号を取得していること(もしくは取得見込みであること)
- 外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関の業務に関連する分野で2年以上の職務経験を有すること
- 英語で職務遂行可能であること
応募方法
3点の書類が必要です。
- 和文応募用紙
- 英文応募用紙
- TOEFLテストまたはIELTSのスコア
英語能力適正に関して
TOEFLやIELTSのスコアの目安は公表されていません。ただし、国連英検特A級においては別途書類に記載できることから、早いうちから対策を考えておくといいかもしれません。「国連英検過去問題集」なども販売されているようですので、現在ある制度をうまく利用して頂ければと思います。
また、国連英検は下記のHPに詳細が書いてあります。
希望する国際機関に関して
ここで注意すべき点は、提出する書類の中に「赴任に関する希望」の欄があることでしょう。派遣先として希望する国際機関のことを知らなければなりません。希望する国際機関のことを十分に情報収集したのち、自分の適正や能力などを照らし合わせなければなりません。国連内に既に居る方は情報収集をするのはそこまで難しくないかもしれませんが、外部にいらっしゃる方は(お知り合いがいるなら別として)対象国際機関のHPが最も頼りになるものかと思いますが、情報収集の仕方を工夫しなければならないかもしれません。
英文応募用紙に関して
ここでの応募用紙は国際機関での正式な文章フォーマットです。Personal History Form(P-11)と呼ばれます(PHPとも呼ばれている??)。経歴とともに実績をしっかり明記することが重要です。
選考方法
選考方法は外務省選考枠か国際機関選考枠によって異なります。
共通審査(第一次審査)
外務省選考枠、国際機関選考枠ともに書類選考です。UNDPを希望される場合は別の書類で応募する必要がありますので、ご注意ください。
外務省選考枠(外務省による候補者選考)
書類審査を通過すると、第二次審査に進みます。第二次審査は英語筆記試験(パソコン入力)及び対面による面接試験です。試験地は現在東京・ジュネーブ・ニューヨークが用意されています。この試験に合格すると、JPO派遣候補者となります。この時点ではまだ国際機関に働けると決まったわけではありません。外務省が国際機関にJPO候補者を推薦をします。JPO候補者は、国際機関の選考(電話やスカイプによる面接やリファレンスチェック等)を受け、これに合格して初めてJPOとしての採用が内定します。その後、健康診断等を経て採用が確定しますが、外務省としての後ろ盾がある分、国際機関への採用される確率は高くなると言えるではないでしょうか。
国際機関選考枠
国際機関選考枠はUNDPやWFPによる候補者選考となります。書類審査を通過すると、電話による面接試験があります。(その他、必要に応じて国際機関によるやリファレンスチェックなどが実施されるそうです。)ここで、選考に合格した場合はJPOとして採用が内定し、健康診断等を経て採用が確定します。
2015年実績
2015年度のJPO試験には301名の応募があり、63名が内定しました。5倍弱ですね。
国連に興味を持っている方は
「国連職員になる方法 後編」も是非続けてご覧ください。また、国連で将来的に働きたいと考えている方は「国連職員になるには」の記事をご覧ください。特に国連職員になりたいけど、何を知るべきかわからないという方に向けて書いています。
関連記事 >> 「国連職員になる方法 後編」
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他にも様々な記事を書いていますので、このブログ内にあるコンテンツに色々目を通していただければと思います。