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国連の自分の職場にインターンがやってきた【前編】

久々のブログ更新です。

現在の職場にインターンがやってきたので、あくまでインターンを採用した側からの視点で書きたいと思います。

なお、私は上司の指示のもと、募集要項、書類選考、面接試験の調整、合否を出してからインターンが来るまでの事務手続き(補佐)、インターンの指導(現在進行形)など基本的に全てのプロセスに関わっています。

どれぐらいこの私の体験談が参考になるかわかりませんが、こんな職場もあるんだなーということを理解してもらえればと思います。

なお、「国連のインターンシップを勧める三つの理由」や「国連インターンシップの応募条件」といった記事も書いていますので、もしよろしければそちらもご覧ください。

関連記事 >> 「国連のインターンシップを勧める三つの理由
関連記事 >> 「国連インターンシップの応募条件

 

インターンを採用するに至ったきっかけ

私の勤めている職場は長らくインターンを採用していませんでした。前回が2009年だったとのことで、私にとっては国連に来てから一度も自分のオフィスでインターンを採用したことがありません。

予算も縮小傾向の中、業務だけが増えているこの頃。自分の仕事も自動化したいと思いつつも、飛んでくる仕事が全てユニークな仕事で法則性がないので、(しかも他の人のインプットが必要なので)自動化できるような感じではありません。やりたいことはたくさんあるのに、なかなか手がつけられないというのは、どこの機関も同じなのではないでしょうか。

どんどん仕事が増える中、人も新たに雇えずという状況でしたので、猫の手も借りたいということだったのでしょう。上司がポツリとインターンを採用したいと口にしました。私もそのことについては前から思っていたことだったので、すぐに着手しました。

 

インターンの募集要項を作る

人事部と確認してみるとインターンを採用するにおいては特に大きな制約はなさそうでした。ただし、inspira(インスピラ)という人事プラットフォームの仕様の関係上、過去に使われた募集要項に似たフォーマットのものを使うとスムーズに採用開始できるということで、過去の募集要項(今回はその時期に募集していた北京のICTインターン募集の要項)をもとに四つのプロファイルを作りました。

INTERN – INFORMATION SYSTEMS & COMMUNICATION | UN Job Site

  1. プロジェクトマネジメント
    • プロジェクトマネジメントで必要なTask/Issue/Riskの管理サポート
    • プロジェクト関連ドキュメントの作成サポート
  2. ICTサービスマネジメント
    • ICTのサービスカタログ作成サポート
    • SOP(標準作業手順書)の作成サポート
    • 業務改善サポート
  3. ICTハンズオンサポート
    • LAN/WAN/VoIPなどのテクニカルなサポート
    • トラブルシューティングサポート
  4. BI
    • データ集めとデータをもとにした分析サポート
    • ツールを使ったデータの視覚化サポート

以上の四つを作り、いい人がいれば採用しようというスタンスでした。なので、最大4名採用という形ですね。

簡単にドラフトして、上司の承認を得たのち、これをinspira(インスピラ)という人事プラットフォームにアップします。

この人事プラットフォームでは、職種の他に、スクリーニング問題を設定します。スクリーニング問題は、適切な答えをしないと書類選考の前にその場で落とされてしまい、書類審査の対象にもなりません。どんなに素晴らしい人であっても、この時点で間違った答えをすると落とされます。

 

書類審査をする

実はインターンシップにおいては採用に置ける制約がそこまでありません。GポストやPポストといった正規のポストであれば、しっかりとした書類審査と面接を行わなければなりませんが、インターンは気に入った人にコンタクトしてその場で採用の決を採ることも可能です。なぜならインスピラプラットフォームに合否の結果をのせればいいだけですから。

今回は、我々の部署にとって久しぶりのインターン採用であったこと、そして僕自身が最初から人事プロセスに絡んでいましたので、正規のやり方でやることにしました。実際にチェックした書類は20にも満たなかったと思います。英語力やスクリーニング問題で落とされる人もいました(これは本来私は感知するところではなかったのですが、念のためチェックすると落とされている人がいました)。

インターンシップに応募する人はそもそもあまり経験を持たない人がほとんどです。そのため、あまり書類に多くのことを書けません。それでもどれだけアピールしてくるかというのは一つの判断材料になります。まずは必須条件を満たしているかどうかをチェックします。これだけで結構落とされてしまうので、応募者にはしっかりと募集要項を読んでもらいたいなと思います。

次に、学歴等のチェックをします。私の部署はITの部署なので、IT関連が望ましいので、IT関連の学部かどうかをチェックし、メモしておきます。次に何か職歴(インターン歴)に関することをやカバーレターをチェックします。ここでどれぐらい募集要項に関連することをアピールしてくるかで得点が分かれます。

結局インターンに限らず新たな人を採用する上で、どれだけJustificationができるかということが重要なんですよね。なので、募集要項に合わせてどれだけ書いているかを考えることはとても重要だと思います。なぜなら、採用する側がJustificationしやすいからです。

これでショートリスティングされた人とロングリスティングされた人とに分けます。(参考:「国連人事の仕組み:採用でよく聞くショートリスト、ロングリストとは何ですか?」)

 

面接の案内をする

だいたい人数が絞れたので、面接に移ることにします。書類選考の時点で、だいたいこの人かなーと思う人はいるのですが、国連のコンピテンシー・ベースト・インタビューを行うことにしました。ここはインターンの面接なので、本来は人事部が先導することですが、今回は私が先導して行いました。

この面接をするに際しても、まずは日程の調整が結構大変です。面接官を決め、その人たちの空いている時間を聞き出し、それに伴って候補者のことも考えないといけません。面接官も一人女性を含ませる決まりがあるので、女性を必ず一人は選出します。

候補者は世界中にいるので、我々の営業時間内でなるべく負担の少なそうな時間を選びます。この調整が意外と大変でした。アフリカ、ヨーロッパ、アジア、アメリカなど全ての大陸から候補者がいました。

8名いたので、4名ずつ、合計二日間に渡って行いました。一人当たり、45分間。

この時間の調整と同時進行で質問を決めます。質問は推奨される質問のリストがありますので、その中から決めます。そのコンピテンシーに関することが聞き出せれば、質問を変えてもいいのですが、ここはストレートにそのリストから質問を選びます。その質問を選ぶと同時に、その質問の加点対象と減点対象の内容も決まります。面接では全ての候補者に同じ質問を行います。

面接の質問集ができたら、その質問を各面接官に振り分けます。

 

面接をする

面接をするに際して、私はあくまで案内役を行い、実際の候補者の評価は頼んだ人にやってもらいます。面接をつなぎ、私が頭出しをします。まずは面接官の紹介。そして、コンピテンシーベーストインタビューの説明。あらかじめコンピテンシー・ベースト・インタビューを行う旨、そしてその参考資料も送ってありましたので(本来はそこまでしないことがほとんどです)、そこらへんの理解は候補者はしていたかと思いますが、念のため説明をします。

各面接官がそれぞれ各コンピテンシーに関して質問をすること。そして、回答によってフォローアップの質問を行うこと。また、今回はITのことだったので、コンピテンシーベーストインタビューに加えてテクニカルな質問をいくつか行う旨を伝えました。

そして、各面接官に質問をしてもらいます。コンピテンシー・ベースト・インタビューの面接官としての訓練を受けている人たちでしたので、コンピテンシー・ベースト・インタビューのことを理解した上でのぞんでいるかどうか一発でわかります。コンピテンシー・ベースト・インタビューの準備の方法は決まっていますので、「国連人事の仕組み:コンピテンシーベーストインタビューについて(国連の面接対策)」の記事と「国連の面接対策をする際にマイケル・エミリーの動画を見ましょう」の記事を参考にしっかりと準備をしてください。

関連記事 >> 「国連人事の仕組み:コンピテンシーベーストインタビューについて(国連の面接対策)
関連記事 >> 「国連の面接対策をする際にマイケル・エミリーの動画を見ましょう

面接をしていると、書類上はとても良さそうに見えるの面接では全然ダメという人が結構います。ここでいうダメの定義はコンピテンシーベーストインタビューを知らず、要点のない答えを延々と繰り返す人のことを指します。その反対に、コンピテンシーベーストインタービューの準備を十分に行ったであろう回答をする人と出会うと、(人間なので)とても良い印象を持ちますし、必然的に(加点項目や減点項目を抑えていることもあって)得点も上がります。

終わった後に、各自採点を行なって集計します。得点が大きく異なる場合は、議論をします。最終的に採点が終わった後に、改めてまとめて上司に結果を報告(スタッフの採用であればここで長いレポートを書かないといけませんが、インターンの採用だったのでここでは割愛します)。上司のGoが出たのち、各候補者と連絡をとり始めます。

 

各書類の準備をする

合格が決まってからが結構大変でした。必要な書類を速やかに提出してくれれば、すぐにでもビザの手続きを行なって(タイ外務省の連絡を待たなければいけませんが)、すぐに働けるようにできるのですが、なかなかそうもいきません。結局、なんだかんだ予定していた日よりも1ヶ月以上遅くなりました。この手続きは同じオフィスのアドミンスタッフに任せていたのですが、私が主にコンタクトをとってきたこともあり何回もそのコミュニケーションの間に立ちました。

必要な書類は、同意書、ビザ、保険の証明書等です。

思いのほか長くなってしまったので、実際に働き始めた時の様子は後編ということで書き改めたいと思います。

 

なお、この体験は私の体験であって、他のインターンシップ採用者が必ずしも同じような経験をするとは限らないことをお伝えしておきます。私も不慣れだったので、もっと効率的に進める方法があっただろうと色々学ぶことはありました。

 

国連のキャリアに興味がある方は

また、「国連職員になるには」の記事にて、国連職員になるために必要な準備や知っておくべき情報等が網羅的に書かれています。特に必要な学歴、経験、学生時代や社会に出てからどんな準備できるかアドバイスも書かれています。1万2千字以上の情報がぎっしり含まれていますので、ブックマークなどしておき、都度必要に応じて辞書的に使っていただければと思います。

関連記事 >> 「国連職員になるには

 

以上「国連の自分の職場にインターンがやってきた【前編】」でした。

亀山 翔大
亀山 翔大
東京都出身。MBA。Project, Program, Portfolio Managementを専門。PMOとして働きつつ、イギリス大学院でサイバーセキュリティを学ぶ。前職である国連にて国連世界ICT戦略遂行、国連グローバルPMO推進。UN KUDOS! Award 2019優勝。プロジェクト(プログラム)マネジメント(PRINCE2/MSP)、サイバーセキュリティ(NIST CSF)等の資格を有する。 プロフィール詳細はこちら

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