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国連人事の仕組み:学歴と言語能力に関して

はじめに

この記事では国連人事制度の「学歴」と「言語能力」に関して書きます。まず、学歴を考える上で、まずは三つの仕事のカテゴリーをおさえる必要があります。

  1. 一般職(Gスタッフ、GSスタッフと呼びます)
  2. 専門職(Pスタッフと呼びます)以上のポジション
  3. 国家専門職(NOスタッフと呼びます)

日本の世間一般的な国連スタッフのイメージは2番目の専門職以上のポジションのことをさします。この2番目がインターナショナルスタッフで、世界を舞台に働きます。

1番目と3番目の一般職と国家専門職は基本的には、一つの国のみで仕事をこなしていきます。

これら三つそれぞれ求められる学歴の基準が異なります。(時間がない方は最後のまとめだけご覧ください)手っ取り早く、求められる職務経験年数が知りたい方は「国連人事の仕組み:国連で求められる勤務経験年数を教えてください」の記事をご覧ください。

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まずは、採用に際して、原理原則の説明から始めます。

 

学歴基準の原則

各レベル・ジョブタイトルにおける国連機関の基準で求められる最低限必要な学歴が定められています

この最低限必要な学歴は、採用担当者が勝手に変更し、国連機関の基準を逸脱してはいけません

これはどんなに権力があろうとも、自分の都合で「最低限必要な学歴」を変えることはできません。

例えば、自分の採用したい候補者がおり、その方の学歴が博士号です。だからと言って、最低限必要な学歴を博士号にすることは許されません。

追加資格が要求されることもある

その代わり、採用マネージャは別の資格を要求することができます。

この追加の項目は、「ライセンス・資格」の部分で表記し、「必須」もしくは「望ましい」という形で表記します。その資格の例として、調達資格、監査資格、会計資格などが挙げられます。

私自身、プロジェクトマネジメントに関係するポジションを探すことが多く、プロジェクトマネジメントの資格であるPMPやPRINCE2の資格を「望ましい」として見ることがよくあります。

こうやって、少しでも自分たちが求めている候補者を書類選考で残しやすくするのに役立ちます。

 

当然学歴が全てではないのですが。。。

当然のことながら、学歴だけでその人がどれだけできるのかを測ることは難しいと個人的には思います。ただ、世界中から優秀な人を集めなければならないと考えると、わかりやすい基準としての学歴を審査するというのもわからなくもありません。

 

一般職(GSスタッフ)または関係するカテゴリーのポジション

一般職に関する必要事項は下記の通りです。

  1. 一般職と関係するカテゴリー*のポジションで求められる、最低学歴は高校卒業の資格です。
  2. 候補者はUNASAT (the United Nations Administrative Support Assessment Test)もしくは、GGST(the Global General Services Test)という試験に合格しなければなりません
  3. ニューヨークでは、さらに会計、統計、編集、DTP(デスクトップパブリッシング、卓上出版)アシスタントと言語レファレンスアシスタントは特別公式試験を合格する必要があります。

2と3は「ライセンスと資格」の項目で必須です。

*一般職と関連するカテゴリーのポジションは、一般職の他に、トレード・クラフトスタッフ、セキュリティスタッフが挙げられ、例えば、広報アシスタントや、言語教師等が挙げれられます。国家専門職(NOスタッフ)はこの分類には当てはまりません。

一般職で求められる職務経験年数が知りたい方は「国連人事の仕組み:国連で求められる勤務経験年数を教えてください」の記事をご覧ください。

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専門職(Pスタッフ)以上のカテゴリーポジション

基本的には、このポジションは最初から大学院を最初から視野に入れて、キャリアプランを立てましょう。

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専門職における原則

基本的には、専門職(プロフェッショナルスタッフ)以上のレベルは、通常修士号と同等の学位が要求されます。また、学士とプラス2年の基準を満たす経験を有する場合、修士号と同等の教育レベルがあると見なされます(例外あり、のちに記述する「専門職の例外」参照)

例えば、P-3のポジションで求められるのは、修士号と5年の関連する勤務経験ですが、学士の場合は7年の関連する職務経験で応募すると、修士号と同等と見なされます(学士号 + 5年 + 2年 = 7年)。

学歴の評価

では、その学歴はどのように評価されるのでしょうか?学士・修士号ならどこでもいいのでしょうか?いいえ、ちゃんと学歴のチェックも行われます。ただし、日本の学歴社会のような、偏差値や大学のランキング等によって有利・不利が決まることはありません。ただし、別の評価ロジックが働きます

WHEDというデータをもとに評価をする

学歴評価は、その学位を取得した大学(院)がWHED(World Higher Education Database)に登録されているかどうかが鍵となります。このWHEDはUNESCOとIAUによってまとめられたデータです。

国連加盟国はそれぞれ異なる教育制度を持っています。これらを十分考慮して、国連はIAU/UNESCOリストに記載されている加盟国の機関によって与えられた管轄コクの権限によって決定された資格レベルを参照します。

また、実際にIAU/UNESCOリストと国連のガイドラインを比べて、どのように評価されるか見てみましょう。

このように、IAU/UNESCOリストと国連のガイドラインは少し異なります。このリストからもわかるように、短大は国連で要求されている1st level degreeとは見なされません。
そして、3年で終わる大学、4年で終わる大学ともに1st level Degreeとして扱われます。ざっくりと分けると、学士・修士・博士でレベルが異なるとみなされるわけですね。

専門職の例外

ある種の特殊な研究を要するポジションは、「学士プラス2年の勤務経験」で修士号とみなされる制度は使えません。このポジションは、医療従事者や求人に記されたポジションのことをさします。

これらを勘案した上で、専門職の求められる職務経験年数が知りたい方は「国連人事の仕組み:国連で求められる勤務経験年数を教えてください」の記事をご覧ください。

関連記事 >> 「国連人事の仕組み:国連で求められる勤務経験年数を教えてください

 

国家専門職(NOスタッフ)のカテゴリースタッフ

国家専門職は最低学士号の学歴が必要です。求められる職務経験年数が知りたい方は「国連人事の仕組み:国連で求められる勤務経験年数を教えてください」の記事をご覧ください。

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言語専門やその他のポジションに関して

言語のポジションをはじめとするその他のポジションは、学士号だけで良いことがあります。GJPに教育基準に関する情報が掲載されています。

専門資格が必須、もしくはあると望ましい場合も同様に求人に掲載されています。会計資格、公共調達資格が例としてあげられます。また、これは国連内部で得られる資格も同様です。

 

言語の知識に関して

全ての候補者は求人に記されている言語スキルを持っている必要があります。もし、基準を満たさない場合は、自動的に資格なしとみなされ、スクリーニングの段階で失格となります。

必ず、Fluentと記して、自動的にスクリーンアウトされないようにしましょう。

まとめ

まとめますと、下記のようになります。

  1. 一般職は高卒が最低限必要。UNASAT若しくはGGSTの試験を合格する必要あり
  2. 専門職から上のポジションは修士号が最低限必要。但し、学士+2年で修士号とみなされる場合もあり。大学はWHEDのリストに載っていなければならない
  3. 国家専門職は学士号が最低限必要。
  4. 言語教師等のポジションは学士号が必要。
  5. 言語は謙遜せずにFluentと書く。採用マネージャーに渡る前に、自動的にスクリーンアウトされる可能性あり。

ということとなります。どの分野の学歴が求められるかは、下記の記事をご覧ください。一つの目安となるかと思います。

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以上、「国連人事の仕組み:学歴と言語能力に関して」でした。

参考リンク:

World Higher Education Database (WHED) Portal

亀山 翔大
亀山 翔大
東京都出身。MBA。Project, Program, Portfolio Managementを専門。PMOとして働きつつ、イギリス大学院でサイバーセキュリティを学ぶ。前職である国連にて国連世界ICT戦略遂行、国連グローバルPMO推進。UN KUDOS! Award 2019優勝。プロジェクト(プログラム)マネジメント(PRINCE2/MSP)、サイバーセキュリティ(NIST CSF)等の資格を有する。 プロフィール詳細はこちら

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