採用に関する情報は詳細に書かれていますし、公開されています
採用に関する情報を得るのはなかなか難しい作業だと思います。それでも、
公開されている情報をしっかりと見つけ、またそのポイントをおさえることで、採用される可能性を高めることができると考えます。
前回の投稿で、求人をする上での大体の流れがわかったかと思います。今回は少し詳細に、特にどのような採用基準で行うのか、またポジションごとに決められている必要な勤務年数に関して見ていきたいと思います。
また、前回の記事である下記の記事も併せてお読みいただければと思います。
ポイント
この記事におけるポイントは、
- GJPというジェネリックな職務プロファイルがあり、
基本的にはそのドキュメントか以前使われた求人情報を使うことが推奨されていること - 候補者を評価する際には、すべて公開された求人情報が基本となり、
求人に書かれていないまったく別の評価基準で採用活動をしてはならない - 採用には一部の例外を除き、基本的に勤務経験が必要で2年から15年とポストにより異なる
求人を始める際にはベースとなるドキュメントから始める
採用マネージャはベースドキュメントをもとに求人を作成します。また、その求人のポストの種類によって、ベースドキュメントは3種類の中から選ぶことになります。
- そのポストのレベルと機能を反映したGJP
*Generic Job Profile:ポストに求められていることを反映した書類。各分野、各ポストのドキュメントが約300以上存在する。詳しくは、こちらの記事を参照のこと
- もし、GJPに定義された仕事やポストでない場合で且つ、職務機能が大幅に変更されていない場合には、以前に分類された個々の職務説明。この場合、採用マネージャーは求人概要に記すことを要請する前に、新しい分類を取得しなければなりません。
- 新しい求人が以前募集した求人と似ている場合、新しい求人はその以前開設した求人から一年以内であれば、その求人を基にすることができる。
採用マネージャーは、GJPか一年以内に開設された過去の求人に基づいて作ることが勧められます。
なぜなら、この選択肢を使うことで、中央監査組織による評価をする必要がなく、より短い期間で採用活動を進めることができるからです。
採用する際の評価基準に関して
候補者が審査される際の評価基準は、GJPまたは個別に分類された職務説明に派生し、指定されたレベルやタイトルの最低限の組織基準を反映しています。また、これらの評価基準は求人に表記されていなければなりません。仮に、GJPを使って求人が行われる場合は、GJPに記された以外の基準を足すことはできません。
評価基準として前提条件が必要な場合は、必ず求人にその情報を記さなければなりません。求人に記されていない基準は評価基準として使ってはいけません。
自動スクリーニングに関して
評価基準として記されたものは、Inspiraの自動スクリーニングプロセスに使われます。そのため、評価基準をリビューする際、採用者はスクリーニングと、前提条件における候補者の評価は提出された書類に基づくものでなければなりません。
書類は、プロファイル、カバーレター、そして質問への答えに対してです。そのため、評価基準は求人をリクエストする採用マネージャーによって定義されることが重要で、inspiraと採用マネージャーのスクリーニングで、資格を持った候補者をもっとも効率的に、透明で、正当化できる方法で決定します。
もし”Required”と書かれたことに合致しない場合は、スクリーニングで排除されます。受ける資格があるとみなされないためです。例外は、G-to-P試験にパスしたスタッフで、1989年12月までに国連事務局で少なくとも5年働いたことがある人のみです。この例外対象者は、専門職(P)以上のポジションに申し込む際に、求められる最低学歴が免除されます。
この評価基準はInspiraのスクリーニングで使われるだけでなく、中央監査機関のコンプライアンスツールとしてプロセスを監視したり、監査するのに使われます。
評価基準は7つの要素によって構成されます
- 必要な勤務年数
- 必要な仕事領域、該当する場合はその専門
- 必要な教育資格
- 必要な言語知識
- 評価メソッド
- コンピテンシー(資質)
- スクリーニング質問
今回の記事では、1と2の必要な勤務年数、必要な仕事領域に関して述べたいと思います。
必要な勤務経験に関して
必要な勤務経験は、ポストの種類とレベルによって必要となる勤務年数が異なります。一部の例外を除き、スタッフを含むすべての候補者は、最低勤務年数の条件を満たさなければなりません。
そのレベルを受ける資格があるかどうか決める上で、勤務年数のベースラインは下記の通りになります。
専門職(Pスタッフ)よりも上のポジション
修士号に相当する学歴と下記の勤務経験年数が必要です。
- P-2 レベル:最低2年(但し、国家共通試験(現在のYPP)に合格した人は勤務経験必要なし)
- P-3 レベル:最低5年
- P-4 レベル:最低7年
- P-5 レベル:最低10年
- D-1 レベル:最低15年
- D-2 レベル:15年以上
*注意点1:会議マネジメント部門の言語ポジションをはじめとする多くのポジションが国連の基準となる勤務年数よりも少なくなることもありますので、自分の分野はチェックしましょう。
*注意点2:ポジションにより、学士号と上記の年数にプラスして対象のポジションに関連する勤務経験が定められている年数あれば修士号の代わりとして補完できる規約があります(学歴に関してはまた別の記事で述べたいと思います)。ただし、すべてのポジションではありません。
*注意点3:専門職(Pスタッフ)よりも上のポジションに関しては、専門的なカテゴリーに関連する経験のみが年数としてカウントされます。
*注意点4:国連システムのGS(一般)カテゴリーとFS(フィールド)カテゴリーでは、GS-6とGS-7、FS-4、FS-5、S-5からS-7、そしてTC-6からTC-8までのレベルがカウントされます。
一般職(GSスタッフ)と関連するカテゴリのポジション
高卒に相当する学歴と下記の勤務経験年数が必要です。
一般職(GSスタッフ)
- GS-5 レベル:最低5年
- GS-6 レベル:最低7年
- GS-7 レベル:最低10年
トレード・クラフト(TCスタッフ)
- TC-4 レベル:最低4年
- TC-5 レベル:最低5年
- TC-6 レベル:最低7年
- TC-7 レベル:最低10年
- TC-8 レベル:最低12年
セキュリティ(Sスタッフ)
- S-3 レベル:最低5年
- S-4 レベル:最低9年
- S-5 レベル:最低12年
- S-6 レベル:最低15年
- S-7 レベル:最低18年
フィールドスタッフ(Fスタッフ)のポジション
高卒に相当する学歴と下記の勤務経験年数が必要です。
- FS-4レベル:最低6年
- FS-5レベル:最低8年
- FS-6レベル:最低10年*
- FS-7レベル:最低12年*
*この勤務経験年数は学士号を持っていると次のように変わります。
FS-6レベル:最低5年
FS-7レベル:最低7年
国家専門スタッフ(NOスタッフ)のポジション
下記の勤務経験年数が必要です。
- NO-Aレベル:最低1・2年
- NO-Bレベル:最低2・3年
- NO-Cレベル:最低5年
- NO-Dレベル:最低7年
- NO-Eレベル:7年以上
求められる仕事領域に関して
求められる分野は、将来仕事することが想定される分野のことを指します。GJPは幅広い分野の任務を書いていますが、すべてが任務として実行するわけではありません。募集中の役職に関連するものは、対応するGJPから選択されます。該当する場合、専門領域・分野が表示されます。
再度この記事のポイント
この記事におけるポイントは、
- GJPというジェネリックな職務プロファイルがあり、基本的にはそのドキュメントか以前使われた求人情報を使うことが推奨されていること
- 候補者を評価する際には、すべて公開された求人情報が基本となり、
求人に書かれていないまったく別の評価基準で採用活動をしてはならない - 採用には一部の例外を除き、基本的に勤務経験が必要で2年から15年とポストにより異なる
どんな対策が考えられるか
これらのことから、下記の対策が考えられます。
- 基本情報となる勤務経験をチェックし、自分の応募できる範囲を見定める
- 求人情報を読み込み、採用基準となりそうなキーワードをリストアップする
- すべての採用基準は求人情報に書いてあるため、
書類はその求人情報に合わせて内容を調整し、
採用基準をすべて満たすように最大限注意をしながら書き込む - 採用基準となりそうなキーワードをなるべく書類に散りばめる
これらのことに注意しながら、対策を立てて頂ければと思います。
以上、「国連人事の仕組み:採用評価基準と必要な勤務年数に関して」でした。