国連のスタッフ採用過程で必ずコンピテンシー面接が入ります
国連事務局のスタッフ採用試験を受ける際に、ショートリストされると(詳しくは「国連人事の仕組み:採用でよく聞くショートリストとは何ですか?」参照)必ず面接試験が入ります。
国連の面接試験は、コンピテンシー・ベースト・インタビューという形式を取ります。ではこのコンピテンシー・ベースト・インタビューとはどのような内容で、どうやって対策を立てることができるのでしょうか。この記事ではその面接の仕組みについて解説します。
関連記事 >> 「国連人事の仕組み:採用でよく聞くショートリストとは何ですか?」
コンピテンシーとは
コンピテンシーとは国連の各機関で定められている、望まれる資質のことをさしています。国連事務局では16コンピテンシーあり、主に三つのカテゴリーに分かれています。
- コア・バリュー(必ず求められるコンピテンシー)
- コア・コンピテンシー(ポストによって求められるコンピテンシー)
- マネジリアル・コンピテンシー(マネジメントポジションの人に求められうコンピテンシー)
国連事務局では、コア・バリューが三つ、コア・コンピテンシー八つ、マネジリアル・コンピテンシーが五つあります。
また「国連面接試験におけるコンピテンシーとは?(コンピテンシー・ベースト・インタビュー)」で、そもそもコンピテンシーとは何かを説明していますので、こちらの記事も合わせてお読みください。
関連記事 >> 「国連面接試験におけるコンピテンシーとは?(コンピテンシー・ベースト・インタビュー)」
マネジメントのポジションでなければ、コア・バリューとコア・コンピテンシーのみ
通常、マネジメントのポジションでなければ、コア・バリューとコア・コンピテンシーのに属するコンピテンシーのいくつかが求められます。
国連組織によってコンピテンシーが異なります
他の国連事務局のコンピテンシーに関しては「国連組織による違いを見てみる コンピテンシーに関して」をご参照ください。
関連記事 >> 「国連組織による違いを見てみる コンピテンシーに関して」
各採用ポストに複数のコンピテンシーが予め指定されています
例えば、下記のリンクを見て見ましょう。
Associate Human Affairs Officer のポスト情報ですが、Core ValueとCompetenciesの欄を見てもらうと、そのポストに求められるコンピテンシーがわかります。
この場合は、コアバリューが「Integrity, Professionalism, Respect for Diversity」の三つ、そしてコアコンピテンシーが「Professionalism, Communication, Planning and Organizing」です。
このポストを応募するにあたり、これらのコンピテンシーに備えて面接の準備をする必要があります(もし面接に進めたら)
実は聞かれる質問のテンプレートがあるので、基本的に質問を知ってさえいればその対策ができます
採用マネージャーとして仕事をしていると、面接試験の質問を決めるにあたり面接質問集をもらうことができます。
この質問集には各コンピテンシー毎に質問と、フォローアップ質問が記されています。
そして、その質問を状況に応じて自由に変更することが可能です。質問の目的はあくまでコンピテンシーに求められている加点・減点要素を引っ張りだし、コンピテンシーの観点からその人が適切かどうかを審査するためです。
採用マネージャーはその質問を取捨選択して、当日全ての候補者に同じ質問をします。
コンピテンシー面接の採点基準は決まっています
面接というと、どうしても主観的な判断となりやすく、私がMBAで学んだ時には人事採用における面接試験はかなり信用性にかけるとのことであまり推奨されていませんでした。ほとんどの企業で面接試験を採用しているのは、採用側の心理的負担を減らすためとも言われています(安心をしたいから)。
さて、国連の面接では加点・減点基準が決まっています。
ではそのコンピテンシーの一つを見て見ましょう。
[st-mybox title=”国連事務局のコンピテンシー” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]国連事務局のコンピテンシーには下記があります。
コア・バリュー
- Professionalism
- Respect for diversity
- Integrity
コア・コンピテンシー
- Communication
- Teamwork
- Planning and Organizing
- Accountability
- Creativity
- Client Orientation
- Commitment to Continuous Learning
- Technological Awareness
マネジリアル・コンピテンシー
- Vision
- Leadership
- Empowering Others
- Managing Performance
- Building Trust
- Judgement/Decision Making
例)「Planning & Organizing」がコンピテンシーだった場合
例えば、Planning & Organizingでこういう質問が聞かれる可能性があります。
Tell me how you personally organize yourself when you have a lot of work.
割とシンプルな質問ですね。他の質問も割とシンプルな質問が多いです。このコンピテンシーにおける加点要素は下記です。
コンピテンシー面接:「Planning & Organizing」の加点要素
Planning & Organizingの加点要素
- Develops clear goals that are consistent with agreed strategies.
- Identifies priority activities and assignments; adjusts priorities as required.
- Allocates appropriate amount of time and resources for completing work.
- Foresees risks and allows for contingencies when planning.
- Monitors and adjusts plans and actions as necessary.
- Uses time efficiently.
つまり、この質問を答えるにあたり、なるべく上記を網羅するような内容にすると高得点が得られやすいということです。
コンピテンシー面接:「Planning & Organizing」の減点要素
同時に、減点要素もあります。
Planning & Organizingの加点要素
- Has no clear system of priorities.
- Appears disorganized and unsystematic.
- Organizes impractical work schedules.
- Is unrealistic about timescales.
- Efforts get sidetracked.
- Deadlines not met.
- Tasks not completed.
- No checks on activities. .
- Is unwilling to change plans to meet new demands.
減点要素の方がこのコンピテンシーの場合は多いのがわかります。これらの減点要素を言わないように答えを組み立てましょう。
コンピテンシー面接で推奨された物事を話す順番があるCARL方式
面接で高得点を取るためには、推奨されたやり方があります。いわゆるCAR(L)方式というものです。
これはContext、Action、Result、Learnedの頭文字をとったもので、「その時の状況(例:自分に課せられたタスク)」、「行ったアクション」、「結果」、「その物事から何を学んだか」の順番に話すといいですよという内容です。
面接官としても、このCARLに沿って話を聞くと大変に理解がしやすいです。たまに、ただ徒然と話し続ける人がいるのですが、かなり時間がタイトな中、全ての質問を聞かなければならないので、なるべく簡潔に答えられると心象が良くなります。
[st-mybox title=”STAR方式と表現する人もいます” fontawesome=”fa-check-circle” color=”#FFD54F” bordercolor=”#FFD54F” bgcolor=”#FFFDE7″ borderwidth=”2″ borderradius=”5″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]国連の公式ドキュメントではCARLと表現していますが、人によってはSTARと呼ぶ場合があります。
S:Situation(状況)
T:Task(行うべきタスク)
A:Action(実際に行ったアクション)
R:Result(行ったアクションにおける結果)
基本的には、CARLとあまり変わりません。
敢えていうならば、CARLはLのLearned「学んだこと」や「改善事項」の説明ができるという意味で、私は個人的にCARLをお勧めしています。
[/st-mybox]
まとめ:コンピテンシー面接の質問も予め予想ができるので、CARL方式に沿って、加点要素を網羅(減点を避ける)ように準備しましょう
お気づきがどうかわかりませんが、私のウェブサイトでは「国連質問想定集」を載せています。コンピテンシー毎に加点要素や減点要素、またフォローアップ質問も載せていますので、ぜひご参考にして頂ければと思います。
関連リンク >> 「国連採用試験面接質問集「コンピテンシー・ベースト・インタビュー」」
国連のコンピテンシー面接はどのような形で進むのかだいたい流れはつかめたかと思います。面接はしっかりと準備ができますので、じっくり時間をかけて準備をしましょう。
また、一回準備をすると、次回同じくアプライするときに同じ解答例を使える可能性もあります。時間があるときに、ぜひとも準備しましょう!
コンピテンシー面接の更なる対策のためにマイケル・エミリーの動画も見ましょう!
「国連の面接対策をする際にマイケル・エミリーの動画を見ましょう」で詳しく述べていますが、UNFPAの人事部長であるマイケル・エミリーがとても素晴らしい動画を用意しています。コンピテンシー・ベースト・インタビューの原則や様々なTIPS、そして「こんな場合にはこうすべき」というような内容を例をあげて述べています。
こちらの動画も見て、ひたすら練習をしてください!
関連記事 >>「国連の面接対策をする際にマイケル・エミリーの動画を見ましょう」
国連に興味を持っている方は
国連で将来的に働きたいと考えている方は「国連職員になるには」の記事をご覧ください。特に国連職員になりたいけど、何を知るべきかわからないという方に向けて書いています。
関連記事 >> 「国連職員になるには」
他にも様々な記事を書いていますので、このブログ内にあるコンテンツに色々目を通していただければと思います。
以上「国連人事の仕組み:コンピテンシーベーストインタビューについて(国連の面接対策)」でした!