国連人事の仕組み 国際連合

日本人国連職員の増強のために何ができるのか(外務副大臣との意見交換会)

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あべ俊子外務副大臣が国連に来ました。そして、日本人国連職員の増強のための意見交換会が行われました。

日本人国連職員増強のための意見交換

あべ俊子外務副大臣に現在の外務省の活動状況や今後の制度設計について意見をいただきました。(下記の内容は、私の解釈や他の国連職員の情報も入っていますので、必ずしもそのままの言葉で言われたわけではありません)

止まり木制度について

国連に勤めていると、どうしても1年や2年という短いスパンでの契約期間になることが多い。

中にはそれで次のポストが見つからずに、国連で働く意志があっても、働き続けることが難しくなる場合がある。それは如何に優秀だろうと、その時の運に身をまかせるしかない。

そのために、国連で働く意思や能力があるにも関わらず、結局国連でのキャリアを諦める人がいる。

こういったポスト間で国連職員でなくとも、どこかに止まり木のように一時休み、その人にあった公募が出た時に再び国連に戻れるように支援ができないか。

その止まり木はどこか別の国連のポストでもいいし、外務省がその止まり木となって職を提供することができないだろうか。

また元国連アジアて太平洋経済社会委員会No2の村田先生(ESCAPに勤めている人は先生と呼んでいます)も止まり木について述べています。

Q.逆に、国連で働くことの悩みは何でしょうか。

家族ですね。一児の父でもあり、家族は自分にとって励みでもありますが、自分も家族自身も犠牲を払います。ずっと、ぐるぐると世界中をまわっていますから、いつ落ち着くのか、病気になったり子どもの教育をどうするかなど、家族も不安があるわけです。日本に止まり木、つまり一回休憩して充電してまた出て行くための受け皿をつくることが必要だと思います。外国に出っ放しでは日本との縁が薄くなりますから、もう一回自分たちの文化を見つめなおし、価値観・アイデンティティを再構築する機会が必要ですね。私も経験があるので、後輩に同じ苦労はしてほしくないのです。
国連職員Nowより抜粋

システマティックなネットワークづくり

国連でのネットワーキングはとても重要である。国によってはかなりアコギなやり方で無理やり方で国連のポストに自国民をねじ込んでくるところがある。

国連内の情報はとても重要であるものの、それがなかなかうまく共有できていないのも現実である。

これをもっと体系的に繋がりを作り、情報共有をすることができないだろうか。

国連はキャリアを積むにあたって、縦への昇進よりも横滑りでポストを得る方が効果的である場合がある。

よりネットワークを駆使して、この横滑り的にポストの獲得を支援できないだろうか。

レジュメ作り支援

国連で仕事をする上で、レジュメの強化は欠かせない。それを外務省としても支援できないか考えている。

具体的には、国連職員が帰国した際に、何かを講演してもらう場を設ける。そういった講演の場を作ることで、(実績ができるため)レジュメの強化につながるのではないか。

旅行会社と連携して国際機関の研修

一つの案だが、旅行会社と協力をし、高校生や大学生を対象とした国際機関の研修ができるといいのではないか。

研修内容に関しては、それぞれ日本人国連職員が担当して、現場の声を伝える。

 

日本人国連職員より出された案

情報発信に関して

日本語による情報の強化

国連に関する日本語の情報が少ない。

国連を本気で目指す人は、英語でも情報収拾をするだろうから、道筋を整えてあげれば国連職員になれるかもしれない。

ただ、国連に興味を持っている人は、どうしても日本語で情報収拾をすることからはじめる。

「国連に関する日本語の情報を多くする」ことによって、(国連の職員の増強につながるかどうかはわからないが)国連に興味を持つ人を増やすことにつながるのではないか。

その観点から三つの提案をしたい。

1. 国連職員による内部ナレッジの情報公開

矛盾するようだが「国連職員になるためには、国連で働かないといけない」状況になっている。

国連内に入った初めて得られる情報が多く、特に国連の諸先輩方から聞く情報は非常に有益で、国連内で生き残っていくためにとても重要で素晴らしい。

それが書類対策だったり、面接対策、筆記試験対策、オススメのポスト、他の国際機関の情報など様々な観点からの情報共有があり、大変ありがたい。

こういった情報を学生のうちから知ることができれば、もっと早いうちから対策を立てることができるのではないか。

国連職員の試験を受ける上でのハードルを下げることができるのではないか。

という観点から、国連の中で働いている人のナレッジをぜひ公開して、将来国連に働きたいと思っている人の役に立てることはできないだろうか。

2. セミナーやイベントのオンライン参加や、内容のアーカイブ(共有)

国際機関人事センターは多くのセミナーやイベントを開催しており、とても嬉しく思う一方、遠方にいる関係で参加できない。

セミナーには長年国際機関に勤められてきた方が講師を勤められていることが多く、是非ともそのナレッジを知りたいと思っていた。

物理的に参加が無理な方、都合が悪く参加ができない方のために、オンラインでのセミナー参加はできないかどうか。

また、そのセミナーやイベントで配られた書類などを、参加していない人でも見ることができないだろうか。

もし、可能であればご検討いただきたい。

3. ウェブに最適化された形での情報配信

国連でもよくやる方法だが、情報を配信するときにPDFやPowerPoint形式で情報配信をすることがある。

そうすると実際に検索をしようとしている人からは、検索結果としてあらわれずらくなり、結果として多くの人にリーチできない。

このネット社会では、多くの人はGoogle検索をして情報を収拾すると思うので、今後行う情報もウェブに最適化された形で発信をしていただけるといいのではないかと思う。

-> 現在YouTubeの配信をしており、是非とも国連で働いている人たちに1分間の動画に出て欲しい。また、今後どんどん情報配信や共有を国連職員から能動的に行って欲しい。

JPO制度に関して

遠隔のJPO面接や研修

将来国連を受ける人は、大学や大学を卒業した後に海外にいることが多い。昔は東京のみの面接開催だったが、今はニューヨークやジュネーブでも開催されている。現在国連ではオンライン(スカイプなど)で面接が受けることができるので、JPO面接試験においても電話・スカイプ面接などできるような体制にできるともっと受けやすくなるのではないか。

また、研修においてもとても素晴らしい研修である一方、どうしても東京での開催となってしまい、意外と東京滞在時の出費もかさむ(特に海外から来る方)。これも遠隔での開催もできるようにならないだろうか。

JPO合格後、生き残るためのキャパシティビルディング

JPO合格後、国連で働きはじめてからの更なる生き残りをかけた(リーダーシップ、コミュニケーションなどの向上を見据えた)キャパシティビルディングができないか。

-> どうしてもそこまでのリソースはないので、どうにかJPOの経験者が後輩を育てるやり方がのぞましい。

JPOポストの生き残りやすい部署や職の事前選定

国連、特にUNDPは、3年ぐらいの周期で大きくトレンドが変わる。例えば、それまでリージョナルに力を入れていたかと思えば、最近はカントリーオフィスに力を入れて、リージョナルオフィスの人員を大幅に減らす傾向にある。

そうすると、JPOポストを選定するにあたって、JPO経験者に最新の状況(どこが生き残りやすいのか)を聞き取り調査をし、それを反映したJPOの選定ができないものだろうか。

TAではなくFTAで残るという意識づけ

国連で生き残るためには、FTA(Fixed Term Appointment)のポストを獲得しなければならない。

TA(Temporary Appointment)とFTAでは大きな差があることを割と早い段階で認識し、FTAでなるべくポストを獲得することを目指す意識が特に必要。

セカンドメントの機会(日系企業との連携)

セカンドメント(出向や派遣)を通した、民間セクターとの連携強化ができないかどうか。

その背景として、民間セクター(日系企業)と連携をする際にどうしても国連のやり方(文化)と企業のやり方で考え方の差がある。

そのギャップを埋めるのにセカンドメントオポチュニティがあるとお互いの企業(機関)文化に理解が深めることができないか。

民間セクターからの国連へのキャリアパスにもつながる。

国連後のキャリア

ある程度経験を積んできた人が、(人によっては安定的な仕事を投げて)国連に入ってくるには相当の覚悟が必要である。(中には貯金を削りながら働く人もいる)

そういった人たちの精神的な安定性を提供するためにも、(仮に国連で働けなくなったとしても)国連後のキャリアにつながるような機会の提供ができないかどうか。

インターンに関して

大学とインターンの提携プログラム

インターンの機会創出のために、大学と提携をとって日本人のインターンをとってもらえるようにできないかどうか。(インターンではないが、国連ユースボランティアというのがあります。)

-> いいアイディア。ただ、インターンシップは例えば大学と提携をするときに、「国際機関が大学にインターンを受け入れる際のお金を要求する」ことがあるようだ。

インターンの語学力に関して

インターンのレベルと言えども、語学力はとても重要で、そういった観点からするとまだまだ日本人の英語力が足りない。

外務省の管轄とは異なるが、もっと語学力を上げることができないだろうか。

-> 小学生のうちから英語の教育を開始。やっとトビタテジャパンでインターンができるようになった(機会を増やす)。語学力・プレゼン力・謙虚すぎることが問題だと思っている。

国連会議をもっと日本で開催

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)ではコミッションセッションという国連会議が一年に一回ある。

この国際的な会議を日本で行うことによって、日本のプレゼンスの向上ないしは、日本の国連スタッフの優秀さのアピール、また潜在的に国連職員を増やすことにつながるのではないか。

(※実際に私も仙台であった国連世界防災会議を通じて、国連で働けるようになりました。私のようなパターンをもっと増やせないかと。)

 

国連職員に期待されていること

外務省の活動は確実に実を結んでいる。情報発信の強化、セミナー内容の充実や回数の増加など内部的な改善も進んでいる。

もっともっと国連職員が能動的に動き、情報提供、後輩JPOの育成、日本でのセミナーの開催などを行って欲しいとのメッセージをいただきました。

外務省は場所の提供などサポートできることもあるので、勉強会や講演などを開催をし、もっと将来国連を目指す人、また現役JPOへのナレッジの共有をして欲しい。

どんどん提案書を提出して、今日あったような意見をどんどん聞かせて欲しい。それが今後の国連職員の増強につながる。

 

感想

初めて外務副大臣という高官のポストについてらっしゃる方にお会いし、話を聞きました。

とにかく明瞭闊達。理路整然とした話に、私自身とても勉強になりました。

無駄な言葉がないといいますか、論理的な話し方に、政治家は(もちろんいい意味で)違うなと感じ、とても印象的でした。

私自身、いかに無駄のない話ができるか、もっともっと訓練をしなければならないと思いましたし、国連で働いている者として「もっと動いていいのだ」と背中を押してもらった気分です。

これから、日本人職員で提案書をまとめて積極的に我々が思っていることを述べていこうと思ったいい会でした。

どうもありがとうございました。

あべ俊子外務副大臣とパシャリ。いろんな意見が出てきた有意義な会でした。

以上「日本人国連職員の増強のために何ができるのか(外務副大臣との意見交換会)」


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亀山 翔大

東京都出身。劇団四季俳優、日本IT企業CTO(最高技術責任者)、国連防災世界会議ITコーディネーター、Fintech企業のKyashを経て、国際連合に勤める。国連ICT戦略推進、リージョナルセンター設立、コンプライアンス、セキュリティ強化など様々なプロジェクトを手がける。 各国連組織にある求人情報を一括取得し、自分で管理するお手伝いをするサービス、https://unjob.site を運用中。 プロフィール詳細はこちら

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