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国連で推奨されているプロジェクトマネジメントフレームワーク「PRINCE2」

※PRINCE2 2017が正式に発表されました。それに伴い、ここで紹介しているPRINCE2の教科書の英語版を変更致しました。

国連で推奨されているプロジェクト管理資格「PRINCE2」の紹介です。

国連では数多くのプロジェクトがあり、数が多い為プロジェクトのマネジメント方法も統一しなければならいません。そこで国連で推奨されているのがPRINCE2です。PRINCE2は「PRojects IN Controlled Environments(管理された環境下でのプロジェクト)」の頭文字をとった用語です。プロジェクトを管理する際も、このPRINCE2に沿った形でプロジェクト管理をすることが推奨されています。実際に様々な採用募集要項でPRINCE2の資格を見るような気がします(僕の働いている分野だけでしょうか?)。PRINCE2の概要、資格の種類、その対策等をご紹介します。

PRINCE2とは

PRINCE2はプロジェクト、プロジェクトマネジメント等の定義から入ります。プロジェクトとは「合意された一つ若しくはそれ以上のビジネスケースを実行・達成するために作られた一時的な団体のこと」と定義します。

関連記事 >> 「そもそもプロジェクトとはなんですか?プロジェクトマネジメント資格「PRINCE2」の観点から見てみる

PRINCE2は7つの原理、7つのテーマ、7つのプロセスで構成されています。7つの原理は、プロジェクトを通して常に守らなければならないこと。7つのテーマはプロジェクトを進める上での方法論を示し、7つのプロセスはステージに合わせたプロジェクトの管理を行います。

こちらがPRINCE2が使っている図表ですが、プロジェクトの環境に応じて、これらの構成要件を適用させてプロジェクトをコントロールしていきます。プロジェクトマネジメントは必ずしもプロジェクトマネージャーと、プロジェクトチームだけではありません。プロジェクトマネージャーの上にいる経営陣、また会社としての役割も明確にしなければなりません。当たり前のことですが、そういうプロジェクトマネジメントに必要な要件をベストプラクティスに沿いながら一つ一つ詳しく説明しています

PMPのプロジェクトマネジメント資格と比べるとどちらを取得した方がいいの?

国連機関内は除くと、知名度という観点では世界的にはPMPのほうが高いです。PMPは割と誰でも知っていますが、PRINCE2となると「聞いたことがない」という声をよく聞きます。そういう意味では、PMPは取得できるならばそれに越したことはありません。

ただし、PMPは資格取得に際して、受験資格をチェックしなければなりません。

PMPの受験するにあたっての制約

PMPは下記の受験制約があります。

PMPは大学卒であれば、4500時間以上の実務経験、36ヶ月のPM経験が必要です。

また、高卒であれば、7000時間以上の実務経験、60ヶ月のPM経験が必要です。

この制約は、初めてプロジェクトマネジメントについて学ぼうという方にはハードルが高いように思います。

PRINCE2は学歴や職務経験における受験制約がありません。ただし、初めはファンデーションコース(初級)を取得しなければ、プラクティショナー初め他の資格は受験できない部分的な制約があります。

PRINCE2の資格に関して

PRINCE2の資格は大きく分けて4つの資格があります。

  • ファンデーョン (初級)
  • プラクティショナー (中級)
  • プロフェッショナル (上級)(PRINCE2 2017から廃止?)
  • アジャイル (アジャイルプロジェクト用)

資格試験付きトレーニングを提供している団体が結構あるかと思います。私もトレーニング受けて資格をとりましたが、どこもとにかく受講料が高かったです。ただ、トレーニングを受けてみて感じたのが、ただ単純に試験に合格するだけであれば、公式テキストを購入して自分で勉強するのが一番手っ取り早いと思いました。特に何かしらのプロジェクトに普段から関わっている方はテキストだけでも相当な情報が得られると思います。

PRINCE2ファンデーション(初級資格)

この資格の目的はPRINCE2方法論や専門用語の理解であり、プロジェクトの一員、またはプロジェクトマネジメントチームとしてPRINCE2の環境下で仕事を効果的にこなすことができることです。また、プラクティショナーの資格を受験をする際に必要です。個人的な感覚値では、2日間集中的に勉強すれば殆どの人は合格レベルに達することができるかと思います。テキストを購入し、短期集中で取得しましょう。もしテキストの勉強だけでは不安な方はPRINCE2 Foundationkのオンラインコースも受講してみてください。

 

試験時間:60分

問題数:75問(うち5問は採点されません)

合格点:35問正解

参考:A4一枚の用紙を持ち込むこんで試験を受けることができます

サンプル問題(英語):https://www.axelos.com/certifications/sample-papers

テキスト:

>> 日本語版:Managing Successful Projects with Prince2

>> 英語版:Managing Successful Projects With Prince2 2017

オンラインコース:

>> PRINCE2のファンデーションコースと2回分の練習試験付き

試験は公式テキストに書かれていることの概要がそのまま聞かれます。例えば、各テーマの目的は?あるステージにおけるドキュメントは何が必要か等。

オンラインコースは練習試験もついているので、モックテストを行えばどれぐらいの難易度かわかるでしょう。

一通り勉強すれば一発合格できるレベルだとわかると思います。

PRINCE2プラクティショナー(中級資格)

PRINCE2プラクティショナーはPRINCE2でプロジェクトを管理している人のための資格で、実際にPRINCE2を組み込み、状況に合わせてPRINCE2を適用させるだけの十分な知識を持っているかを確認するための資格です。こちらはファンデーションの資格を取得したら、練習問題を解いて確認をすれば合格することができるのではないかと思います。

試験時間:2時間30分

問題数:8問(それぞれ10点)

合格点:55%(44点)

参考:公式テキストのみ持ち込み可能

サンプル問題(英語):https://www.axelos.com/certifications/sample-papers

テキスト:テキストはファウンデーションコースと同じテキストを利用できます!

>> 日本語版:Managing Successful Projects with Prince2

>> 英語版:Managing Successful Projects With Prince2 2017

試験は公式に書かれていることのファンデーションコースの内容がシナリオに合わせて少し細かく聞かれます。例えば、ある提示された役職の人はPRINCE2で指定されたどのロールにカテゴライズされるか。またその理由は何か。

PRINCE2プロフェッショナル(上級資格)

PRINCE2プロフェッショナルはあらゆるの観点からプロジェクトライフサイクルを考察し、複雑でないPRINCE2プロジェクトを管理できるかどうかを審査します。

注意ポイント

追記:この資格はPRINCE2 2017年度版からなくなりました。

 

試験時間:2日と半日(泊まりで行う)

審査様式:グループワークとエクササイズ

問題対象:仮想ケーススタディプロジェクト

審査方法:19のパフォーマンス基準にのっとって審査(筆記試験はなし)

テキスト(予想):

こちらも同じくファウンデーションと同じテキストを使います。
>> 日本語版:Managing Successful Projects with Prince2

>> 英語版:Managing Successful Projects With Prince2 2017

PRINCE2アジャイル

PRINCE2のファンデーションとプラクティショナーの資格を持っている人が受験することができる資格です。PRINCE2アジャイルはスクラムやカンバン等のアジャイル形式のプロジェクトに沿った資格です。こちらもテキストを購入し、サンプル問題を何回か練習すればすぐに合格できるレベルになるでしょう。

対象者:PRINCE2ファンデーション、プラクティショナー、PMP、CAPM、IPMA Levels A,B,C and Dのいずれかを持っている人

試験時間:2時間30分

問題数:50問

合格点:30問正解(60%)

参考公式PRINCE2アジャイルマニュアルのみ持ち込み可能

サンプル問題(英語):https://www.axelos.com/certifications/sample-papers

テキスト:

Agileのテキストは別です。これFoundationやPractitionerとは違う作りになっています。

>> 英語版:Prince2 Agile

 

PRINCE2のテキストに関して

PRINCE2 ファウンデーションとプラクティショナー用のテキストとアジャイル用のテキストがあります。資格を取る上では、このテキスト購入は必須だと思います。別の言い方をするならば、テキストを買って自分で勉強できるのであれば、トレーニングは受ける必要がないと思います。トレーニングを受講する際はそれなりの投資が必要です。僕は試験付きのトレーニングを受けましたが、結構授業料取るんだなーとびっくりしました。コストパフォーマンスを考えて、アジャイルは自分で勉強することにしました(テキストを購入して自習で合格できるとサンプル問題を見て思ったためです)。

私は英語版のテキスト二つ(Managing Successful Projects with PRINCE2とPRINCE2 Agile)を持っていますが、とても役に立ちます。プロジェクトマネジメントの時に、ドキュメントを作りたい時、何か忘れていないかチェックする時、何か現在行われているプロジェクトで改善したいと思った時等にいつでもめくることができます。少し高いですが、プロジェクトマネジメントをしている方にオススメです。またデスクに置いて、プロジェクトの進行に合わせてちょくちょく参考にしています

PRINCE2 ファンデーション、プラクティショナー用テキスト

>> 日本語版:Managing Successful Projects with Prince2

>> 英語版:Managing Successful Projects With Prince2 2017

PRINCE2 アジャイル用のテキスト

>> 英語版:Prince2 Agile

 

PRINCE2は2017年に生まれ変わりました

PRINCE2は定期的に改良を加えています。内容をより分かりやすくしたり、新しい時代のプロジェクトマネジメントの方法に適応するためです。今回は、コアな部分はそのままに、多様化するビジネスやその環境に配慮し、より柔軟なフレームワークになるようです。

PRINCE2 2017 Update | Project Management | AXELOS

AXELOS has updated the PRINCE2 project management guidance & launched new Foundation & Practitioner exams. They form the PRINCE2 2017 update: find out more.

実際に私も新しいテキストブックを見ましたが、様々な部分でアップグレードされていて、より読みやすくなりました。大変オススメの本です。

国連ではどう使っているか

国連でもPRINCE2の知識を持つことを推奨されています。実際に、国連アジア経済社会委員会にPMOというプロジェクトマネジメント室があるのですが、このPMOが中心となりPRINCE2資格取得者を増やし、PRINCE2のフレームワークをプロジェクトマネジメントの中核においています。国連のYPPの試験でもPRINCE2が質問の内容に出る分野(Management and Administration)もあります。

また、UNOPS(国連プロジェクトサービス機関)の求人情報を見ると、PRINCE2の資格取得者を優遇することが書かれていることがあります。これを機会に、資格を取得し、経歴に箔をつけてみてはいかがでしょうか。

PRINCE2 2017に変更に伴い、Practitionerの難易度が多少上がったように思います。PRINCE2をプロジェクトに柔軟に合わせるという部分がより強調されていますし、多少トリッキーな内容になっている部分があります。前提となる知識をしっかりと身につけて、対策していただければと思います。

>> PRINCE2のファンデーションコースと2回分の練習試験付き

関連記事 >>「プロジェクトマネジメントの資格勉強に購入検討したいテキスト本を紹介

亀山 翔大
亀山 翔大
東京都出身。MBA。Project, Program, Portfolio Managementを専門。PMOとして働きつつ、イギリス大学院でサイバーセキュリティを学ぶ。前職である国連にて国連世界ICT戦略遂行、国連グローバルPMO推進。UN KUDOS! Award 2019優勝。プロジェクト(プログラム)マネジメント(PRINCE2/MSP)、サイバーセキュリティ(NIST CSF)等の資格を有する。 プロフィール詳細はこちら

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