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採用面接で面接官が陥りやすい12の罠

国連のOHRMがまとめた採用トレーニングのガイダンス

国際連合にはどのように採用をするのかの指針を示すトレーニングガイドブックがあります。素晴らしい採用面接をするための完璧なメソッドはありませんが、採用面接に際して陥りやすい12の罠(問題)を挙げているので紹介します。僕も採用面接をしたことがありますが、確かにこう言う傾向にあったかと思いました。このガイドブックでは「問題」とあげています。ただ、会社によってはこの中の問題とされているものを重要視したほうが良いのではないかと思う項目もあったので、あくまで国連等の大きな組織においては気をつけるべきこととして解釈をすればよいのではないかと思います。

面接官同士の意見が合わない理由

罠1:固定観念に陥りやすい

会計士、男性、外国人、同性愛者といったその人の職業や性質をそれぞれグループとしてまとめた時に、その人はそのグループに対して固定観念を持ちます。一人一人を唯一無二の存在として扱うよりもある程度分類して人を見るため、この固定観念を取り払うことはほぼ不可能です。その人の経験により、その固定観念は変わります。例えば、新しい都市で働く際、その新しい都市に住む人を「その都市の人」一括りにするのもその典型です。そして、この固定観念を解くためには時間をかけて、どう言ったカテゴリーに分類させる必要があります。そして、この固定観念はしばしばその固定観念を持つ対象に対する行動に影響を与えます。ここでは、面接官の持つ固定観念が候補者の評価に影響を与えることを示唆しています。

罠2:採用したい人材のイメージが面接官の中で異なる

異なる面接官が特定の候補者に対して同じ査定をすることは好ましくないと記されてます。面接官が特定の仕事に対して違う査定軸を持っているためです。候補者のある点に関して良いと判断する面接官もいれば、その逆もあります。知性に関しては評価が同様の認識を得られることがありえますが、それでも筆記試験等のテストで測ることのできる基準に比べるとお粗末と言えるでしょう。言葉を変えると、面接官が一様に納得の得られるものに関しては面接という採用方法を用いなくても評価することができると言えるでしょう。

さらに心配の種となりうる発見は、経験豊かな面接官は不慣れな面接官と比べると、その評価に一貫性が無いということです。

罠3:評価する基準が異なる

面接官同士がなかなか評価の同意が得られない一つの理由として、全体的な評価判断をする際に異なる情報を使って判断するためである可能性があります。例えば、一方ではその候補者の前職が同業であるかどうかという点に重きを置き、他方では職業の流動性(Mobility)に重きを置きます。ある研究では、結婚の有無を75%の面接官がチェックをし、直近での仕事内容に関しては55%の面接官しかカバーしていないというデータがあるようです。

罠4:同じ情報に対して違う解釈をする

こういった評価基準が異なることに対しての改善策は、面接のガイドラインやチェックリストを作ることです。しかし、こういった試みは面接官同士のに一貫性をもたらすことができるとは言い切れないでしょう。例え、同じ情報を与えたとしても、違う解釈をします。例えば、ある候補者が「自分は常に仕事の細部にはこだわらないで仕事をしている」を正直に話したとします。この情報に対して、一人の面接官は「不注意な仕事管理をする者」だと受け止めたとしても、他の面接官は「候補者は常に優先度を明確にし、より重要なことに多くの時間を割く者」だと判断するかもしれません。

候補者を評価する際に陥りやすい癖

罠5:直観で決める

面接官は人間です。人間である以上、どれだけその対象のことに対して明確なエビデンスの元に評価を下そうと試みたとしても、自分の直観を元に採用したいという誘惑に駆られます。

罠6:プレッシャーで採用評価のポイントを上げてしまう

研究では、面接官が様々な評価基準の元、採点をしようとしたとしても、あるポジションの人を早急に決めなければならないというプレッシャーが有る時候補者たちの能力や質に関わらず、平均評価点が結果的に上がってしまうことがわかっています。これは例えその候補者の中から一番良い人物を採用したとしても、それはその候補者達の中で一番良い人物ということであって、本質的に採用したいと思っている基準に反している可能性があります。例え、その候補者達の中での一番であっても、候補者達の能力が低ければ、あくまで「まし」というレベルであって、求めている人物ではない可能性があります。

罠7:面接を始めて早々に人物の評価を決める

これも同じく研究でわかっていることであるが、その候補者に対しての評価を下すに当たる平均的な時間は、「その人が部屋に入ってきてから」4分以下であるそうです。その後の取得する情報に関しては、自分が既に下した判断にマッチするかどうかを確かめる時間に当てます。

罠8:悪いところを過剰に重点を置いてしまう

多くの研究によると、面接官は好意的な情報よりもそうではない悪い点に重きを置くようです。他の関連する研究もこの点には同意するようで、良い点と悪い点は平等には扱われません。仮にその人の印象が最初は良かったとしても簡単に悪い印象に変わりますが、最初に悪い印象を持っていた場合、良い印象に変わるのはそれほど容易ではないようです。

罠9:相対的に候補者をランク付けする

候補者の評価は、今まで行った他の候補者の評価の情報に部分的に依存します。別の言い方をすると、それぞれの候補者をその仕事に求められていることを総合的に判断するよりかは、他の候補者と比較して相対的な判断をするということです。最終的な決断は、その他の候補者とどれぐらいのコントラスト(違い)があるかという力が働きます。これは、「しょうもない候補者の中からのベスト」を選ぶという本来の目的とは異なる結果をもたらす危険があります。

罠10:自分に似た人を好む傾向にある

面接官は自分に似た要素を持つ人に高い点をつける傾向にあります。ある研究では面接官が個人的に好ましく思っている80%の候補者がその仕事のオファーを受け、一方個人的に好きではないと思われた候補者は40%しかオファーを受けていないという結果が出ています。

候補者の反応に影響を与える特徴

罠11:候補者に影響を与える態度をとる

その候補者がどのような態度に出るかはその面接官の態度によって変わります。特に言葉に出さないその人の態度が影響します。ある研究では、ある面接官はあまり話さなかった候補者を不採用としましたが、候補者はその面接官がより冷たい批判的な態度であったために、居心地が悪く彼らの質問に対して躊躇した回答になってしまったという事例を述べています。

イギリスの就職説明会では、暖かい態度で、良いアイコンタクトをし、よく頷いて面接をすると、候補者はよりリラックスして、より親しみやすい態度で接し、より話をし、そして一般的に効果的に良い印象を面接官に与えることができたとの研究結果が出ています。

罠12:候補者の内定受理の有無に影響を与える態度をとる

面接官の態度は候補者の反応に影響を与えるだけでなく、候補者がその内定に対してオファーを受けるかどうかにも影響を与えます。面接官は候補者にとってその会社や団体において初めて会う人間であることが多い。その候補者にとってのその会社の印象は、その面接官を好意的に思うかどうかに影響されます。潜在新入社員に対する調査によると、43%がしょうもない面接官に不満を漏らし、半数以上の人が1〜2つの会社に対して悪い印象を持つ結果になったとの事です。50%の潜在新入社員は面接官と面接をしたことによってその会社のオファーを受けるかどうかにある程度の影響を与えるそうです。面接官が個人的に好きではなかった場合、その会社の内定を受ける確率は下がります

 

ではどのように改善するか・・・は次回

自分の体験談としても、面接官としても候補者としても思い当たる節があります。次は、これらの陥りやすい罠に対して、どのような対策をすればいいのか、改善するための6つのポイントを次回の記事に書きたいと思います。

亀山 翔大
亀山 翔大
東京都出身。MBA。Project, Program, Portfolio Managementを専門。PMOとして働きつつ、イギリス大学院でサイバーセキュリティを学ぶ。前職である国連にて国連世界ICT戦略遂行、国連グローバルPMO推進。UN KUDOS! Award 2019優勝。プロジェクト(プログラム)マネジメント(PRINCE2/MSP)、サイバーセキュリティ(NIST CSF)等の資格を有する。 プロフィール詳細はこちら

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