国連の採用プランの立て方
以前の投稿で採用プロセスについて書きました。今回は実際に採用プランをどのように立てているかについて書いていきます。特にタイムラインや各ポジションによる制約など見つめてみると、採用にかかる時間や、その対策が自ずと見えてきます。人事採用制度を研究し、対策を立てて行きましょう。
まず、採用のターゲットですが、空席を埋める目安が120日と定められています。いかにこの120日間で良い求人情報を出し、最適な人物を惹きつけるかが一つの大きな指標となります。
【1】採用プラン
ポジションとジョブネットワーク、ジョブファミリーに関して
とはいえ、空席を埋めるのに下記のポジションは総じて一年以上の期間を有します。
- 一般職のG-5より上のポジション
- Trade and CraftsカテゴリーのTC-4より上のポジション
- セキュリティスタッフのS-3より上のポジション
- 専門職および専門職以上のポジション
- フィールドスタッフ
求人情報を作成するにあたり、学歴や求められる仕事内容に基づき、そのポジションに関連するジョブファミリーを反映しなければならない。また、実際にその仕事内容を反映する際に、Careers Portal for Job Network ->> Job Family ->> GJP ->> Job Code relationshipsを参照のこと。
ジョブネットワークは8つあり、37のジョブファミリーがこれらのジョブネットワークに付随します。採用マネージャーは採用担当者と協力して確実にジョブコードが適切なジョブネットワークを反映するように気をつけなければなりません。
P-1とP-2ポジションに関して
P-1とP-2レベルのポジションに関しては主に4つの制度を通して採用されます。
- 競争試験(G to P試験、もしくはヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP) (前身の試験はNCRE)
- 語学競争試験(Language Competitive Examination (LCE))
- ジュニア・プロフェッショナルの再採用制度
- ST/2010/3のSec. 2 Para. 2.5, Sec.3 Para. 3.2(k), 3.3に基づき、部長もしくはオフィスの長の権限で部内の空席の同じポジションにインスピラに求人情報を出さなくても職員を転任させることができる
ロースター制度に関して
ロースター制度を使った採用を認められている機関に関しては、直ぐに空席になるか、空席がいずれ予想される際にふさわしい候補者をロースターとして登録するために、一般的な(共通の)求人情報を公示することができる。
特定のポジションの求人にこれらの機関によって宣伝される。
* ロースター制度を使うことを許可されている機関でプロジェクト関連のポジションを利用できる分野は、DFS、UNODC、OCHA、OIOS、UN-Habitat、UNEP、OHCHRです。これらの機関でタイムリーに彼らの任務を達成するためのものです。ただし、このロースター制度は定着したポジション、例えば代表者やプログラムマネジメントオフィサーなどには適用されません。
空席が予期せず出た場合
採用マネージャーは予期せず空席になった場合、例えば現職者が別の職に選定された時や、離職する際、またポジションが新たにつくられたときなど、すぐに求人採用プロセスを開始するこが強く勧められる。
空席が予想される場合
空席が予想される場合、例えば現職者が引退するなど、6ヶ月よりも前に求人採用プロセスを始めなければならない。適切な採用プランはシステム的に機関プロセスに統合されており、才能ある者が不足しないように積極的に計画される必要がある。
採用マネージャーの責務
採用マネージャーはインスピラで、ベースドキュメントの選定と仕事内容の細かい設定をし、求人採用プロセスを開始する責務がある。スタッフィング・テーブル・マネージャーとシニア採用担当者はこのプロセスを必要に応じてサポートする。
また、採用マネージャーは求人の作成、求人内容を概要に含めるためのリクエストを速やかに行う責務がある。採用担当者が必要に応じてサポートする。
160日間進展がない場合
求人活動プロセスを開始して160日間何も進展が記録されていない場合はこの求人はキャンセルされる。この場合、採用マネージャーは新たに求人を新たに作成し、全てのプロセスを初めから行わなければならない。
【2】国連事務局が考える良い採用プランの効果とは
良い採用プランはいくつかの効果があり、そのなかでも顕著な効果があると考えているのは下記の三つです。
- 採用が遅延しない 適した資質を持った人を必要な人数採用することで目標の達成を確固なものとする。採用プロセスが始まったら、採用タイムラインに沿って進行していかなければならない。
- イメージの改善 いかなつ不測の事態に備えることで、機関はよりよいイメージ、ブランド、そして信頼を確立することができる。
- 迅速なタレントあるスタッフの置換 引退するスタッフ若しくは新たな要求によるポジションの認知させることでプログラム遂行を計画通りに進めることができる。120日間を平均選定時間のベンチマークとして使われる(これは求人が発行されてから選定決断が下される日を平均選定時間と定めている)国連事務局では、これをしっかり遂行されるべきである。
【3】採用タイムラインのモニタリング
1.求人活動の前準備
採用マネージャーは求人作成と、求人概要含める前の必要な許可の取得する責任があります。また、そのターゲットとなる日数は下記の通りです。
2.求人の投稿
許可が出ると、求人情報は採用担当者にいって投稿されます。求人は通常下記の期間投稿されます。
- 一般職(G):30日間の投稿
- 専門職(Pとそれ以上): 60日間の投稿
- ロースター(RFR Recruit from Roaster): 15日間の投稿
3.求人活動の投稿
求人の〆切日を考慮に入れる際、下記のようにそれぞれのステージで責任ある役割のタイムラインが存在します。採用担当者が採用マネージャーに候補者を受け渡すと、採用マネージャーは学歴、職務経歴、言語資格が求人で示されているものと評価基準に則って候補者の評価を行う。動的な候補者の受け渡しと、早期評価開始を行うことによってプロセスを早めます。アプリケーションの評価に関わらず、知識ベースのテストと(若しくは)、コンピテンシーベーストインタビューを含む他の評価メソッドは締切日の後、そして採用担当者が資格を有するものの候補者を採用マネージャーに渡した後にのみ実施される可能性がある。達成すべきターゲットとなる日数は下記の通りです。
4.求人を良くするためには
求人は資質と経験を有する素晴らしい候補者を惹きつけることが何よりも重要です。そのために、曖昧な言葉やその仕事の魅力をくすませるような専門用語は避けなけれなりません。求人情報よく書かれていると、その後のスクリーニングと評価が進めやすくなります。求人は一般的なジョブプロファイルのコピーであったり、個人的に分類されたものであってはいけません。
適した候補者は総じて筆記評価やコンピテンシーベーストインタビュー、そしてチームにフィットするかの人物評価によって達成することができます。
優れた採用マネージャーは新しい候補者を選定する前に、下記の最も関連する三つの要素から成功を描き、プロセス開始のことをよく知っています。
1. 求人準備に関すること
2. 求人を広めること
3. 候補者を評価すること
5.適した候補者を惹きつける
空席を埋めるために候補者を惹きつける方法は沢山あります。採用マネージャーが選べる方法は、そのポジションと労働者市場に依存します。採用マネージャーが選んだ戦略をレビューする際、次のことを意識する必要があります。
1. その仕事も性質は何か。管理者としてか、学術的か、技術的か、リサーチか、エキスパートか、フィールドでの仕事かなど。
2. その仕事の規模と候補者の拠点は。大きい/小さいスケールか、インターナショナルかナショナルか。
新しい求人情報は、国連職業ポータルに求人情報を掲載することに加えて、以下に示す各媒体に適合するようにその内容を転記することを許可し、適切な求人の原則に従うべきです。
- 主なる報道(印刷・オンライン新聞)
- 代替報道(専門刊行物、地方、全国または学生の出版物)
- AHRMIO(国際機関における人的資源管理協会)
- CEB(チーフエグゼクティブボード)
- UNICS(国連情報センター)
- レジデントコーディネーター
- インターネット(ジョブボード、Facebook、Twitter、LinkedIn)
- 募集/雇用代理店
- ヘッドハンティング/検索会社
- 招待状または指名(軍と民間の警察の指名)
- ネットワーク会議、国連事務局への常設ミッション、大使館、特別利益団体、専門家団体、口コミなど
部門は、外部のキャリアボードと出版物を使用するために必要な資金を確保することが奨励されています。
6.評価基準に関して
作成された求人ごとに、応募者が事前審査され評価された評価基準が同時に決定されます。これは同時に、中央監査機関がプロセスの監視とレビューに使用するコンプライアンスツールを構成します。採用マネージャーが基本文書から求人、スクリーニングの質問(評価基準)、評価、推奨事項をどのように行うか何も不安材料がないようにしなければなりません。
必要とされる年数および職場経験、学歴および言語に関する知識は、基礎分類文書およびその職務の機能に沿って決定されます。
また、ショートリスト(ロングリストとショートリストがあり、ショートリストされた人から優先的に面接等の先のステップに進みます)するための基準も記されます。
さらに、質問ライブラリからの一連のスクリーニング質問は、求人に関連し、以下の目的を果たすものとします。
- 採用マネージャーへの候補者リスト受け渡しのため、アプリケーションの適格性に関するベンチマーク。質問はアプリケーションをフィルタリングするのに役立ちます。
- 質問は、査定訓練の基礎を形成し、就職のための評価基準に記録されるものとする。本質的に、仕事の要素(経験とスキル)質問で取り込まれたものは、評価の実施に際に使用されます。質問には、ジェネリック・ジョブ・プロファイルまたは個別に分類されたジョブ記述との明確な関連が必要です。
まとめと考察
これらのことから、下記のことが考えられます。
- 採用活動はそれなりに(120日間以上)時間がかかることを覚悟する必要がある。
- そのため、長期的な就職活動になることを
- 一般職(G)は30日間、専門職(Pとそれ以上)は60日間、ロースターは15日間の対策期間がある。
- P-1、P-2はいくつかの採用制度がある。
- 応募後に面接も含め試験が課されることがある。
- 求人情報がすべてとも言えるので、対策はまずは求人情報をしっかりと読み込み、求人情報に合わせて可能な範囲で書類や面接をアレンジする。
- そのため、過去に作成した書類(プロファイル)をそのまま使いまわしても、効果がない可能性がある。見方によって、そのポジションに適しているか、適していないか変わるので、いかに自分が適した人材か直接的な表現であらわし、相手が行間を読んでくれることを期待しない。
基本的に国連事務局であれば、人事部はじめ採用を考えている人は、ルール通りに対応しなければなりません。逆に言えば、予め採用の形態が決まっているとも言えます。まだまだ、解説すべきことがありますが、これらのことを予め知ることで、対策ができますし、特に人事部で働くことを考えている人は必須の知識と言えるでしょう。
この人事部関連の投稿は続けて行きますので、たまにチェックして見てくだい。
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以上、「国連の採用プランの立て方」についてでした。