国連の書類選考を合格したら、その次は試験です。筆記試験の時もあれば、面接試験のみという場合もあります。では、その試験はどのように定められているのか書いていきます。
試験の種類
試験は下記の形式の試験があります。
- 筆記試験
- ケーススタディ
- プレゼンテーション
- シミュレーション・エクササイズ
- 技術試験
- エッセイ・エクササイズ
- その他(コンピテンシーベースインタビュー(面接)を含む)
それぞれの試験に関しての説明は、この記事の後半に書いていますので、そこが気になる方はスクロールして、そちらをご覧ください。
試験の前に事前に決められる内容
下記の項目に関しては採用マネージャーが考慮に入れる必要のある項目です。
- その試験の期間: どれぐらいの時間が面接試験のためにブロックされているか、筆記試験期間はどれぐらいか
- スコアに関して: それぞれどのように採点されるか
- 場所に関して(理想的な環境に関して): ほとんどの筆記試験はメールで行われる。コンピテンシーベース面接は対面や電話面接の場合が多い
- 候補者の人数に関して: ショートリスト(書類選考の点数が高く、優先的に試験を行う人のリスト)は2−3人では少なすぎ、5名を越えると時間がかかりすぎてしまうことから、その間の人数が好ましい。
→ つまりどんなに応募者が多くとも、書類選考の時点で4-5名に絞られる。 - 試験の時間: それぞれの試験や候補者にどれぐらいの時間を配分するか
- 試験のパネル: 人数、経験、役職や性別等を考慮に入れて選ばれる。最低3名。仮採用(temporary appointment)の人は選ばれない。うち2名は採用ポストと同じかそのポストよりも高いレベルのポストについている採用分野の専門家。少なくとも1名は女性で同じかそのポストよりも高いレベルの人。また、可能な範囲で1名は関連のない部署を代表して参加する。もし人員が確保できない場合は、他の国連機関、国際機関、またはパートナー組織の同等またはそのポストよりも高いレベルの人であること。もしそのポストが技術的なポストであれば、技術専門家を(他の国連機関、国際機関、パートナー組織の同等かそれ以上のレベルであると尚よし)招くと良い。
選考に際し、考慮される要素
ポジションや、レベル、またその状況によって異なりますが、少なくとも二つの評価方法により、下記の四つの潜在情報を引き出します。
- 資質: その候補者が何をできるか、どのように考え行動するか。
- 要素: 候補者が持つ特徴や質。
- 知識: 候補者が何を知っているか。
- 経験: 候補者が今まで行ってきたこと。
殆どの場合面接試験のみが実施される
伝統的に、その候補者を採用する試験は「コンピテンシーベース面接試験のみ」が実施されます。Inspiraという採用サイトに公開される時、採用マネージャーは最低二つの評価方法を使うように進められます。そして、採用マネージャーは面接試験とその他の行くつもある評価方法の中からその仕事をシミュレートできるものを一つ選ばなければなりません。そのシミュレーションエクササイズは、対象の仕事の特定のタスクやスキルを図るために設計されていなければなりません。
一見、面接のみが実施されるものの、採用マネージャーは二つ以上の評価方法を実施することが求められているので、矛盾しているように思いますが、ガイドライン的にはそのようになっているようです。
評価方法が決められる際に考慮される二つのドライバー
評価方法の選定には、その評価方法が次の二つを示すものである必要があります。
- 仕事環境の異なる状況コンテクストを掴むこと
- 仕事を行うのに必要な資質やスキルの範囲を正確に評価する方法を与えること
この理由のために、複数の評価方法がとられるべきです。理想的には、これらの評価方法を使って、三つの関連する資質(コンピテンシー)と、マネジメントポジションであればプラスして二つの経営資質が評価基準としてあげられ、評価されるべきです。
各試験に関して
1. 筆記試験
筆記試験はそのポジションでの仕事に求められることを想定させます。マネジメントの初めのレベルである( P-3 / P-4 )のポジションに於ける一般的な筆記試験の例としてあげると、候補者が危機的な状況が発展している仕事環境に置かれた場合の想定です。状況をどのように対処するのか、その責任を取ることが求められます。
または、連絡文章の作成、指定の締め切り日までに行うタスクがその筆記試験になる場合があります。このエクササイズを通して、仕事のスキル(例えば仕事をまとめて優先順位をたてること)、分析スキル、チームメンバーやクライアントとのコミュニケーション、筆記コミュニケーションスキル、そして(もし高いレベルのポジションであれば)委任・委譲スキルを測ります。
このタイプのエクササイズは最大3時間かかります。
2. ケーススタディ
候補者はワークプランやマイルストーン、予算や資源を組み込んだプロジェクトドキュメントの作成を要求されることがあります。このタイプのエクササイズは、複雑な問題やデータの分析、プロジェクトアイディアの作成、初期段階で想定されうる問題の予見、問題に対する解決策や学びの模索、プレゼンスキルの使用等を測定します。
3. プレゼンテーション
プレゼンテーションエクササイズは、ある特定の主題に対する知識、そして口頭コミュニケーションスキルを図るために行います。そのトピックに対して候補者は最低でも1時間の準備する時間が与えられます。候補者はそのプレゼンに対して質問をされることを想定していなければなりません。 時間制限は最初のうちから明確に定められていなければなりません。
4. シミュレーション・エクササイズ
例えば、会計アシスタントは、面接では測れない正確さとスピードを図るテストが行われるかもしれません。請求書や納品書と帳簿の帳尻合わせをし、エラーが適切に修正されるようなテストがその一例です。
出費の計算を含む数式テストやクレーム処理に関する複数選択肢が課される可能性があります。
5. 技術的な試験
この試験は候補者が、仕事で求められるスキルや知識を見るための試験です。この技術試験は筆記知識試験、筆記エクササイズ、ケーススタディー、シミュレーションなど候補者の技術能力を見るためのすべての方法を使って行います。
6. エッセイ・エクササイズ
このエッセイ・エクササイズは候補者の筆記コミュニケーションスキル、ある特定のポジションのケースを作る能力、そして特定のポイントを論じ、他の人を説得する能力を見るための試験です。大抵の場合、候補者は問題供述が与えられ、彼のポジションのその問題に対する説明をしなければなりません。ここでは、正しい、もしくは正しくないポジションというのはありません。採用マネージャーはその候補者がどのように道筋を立て、文章を構築し、論じるのか、また事実を用いて候補者の言い分を証明するのかという点を見ます。
7. その他の評価方法
他のエクササイズは、ある特定の仕事スキルを測定するためのものでしょう。これら今まで述べられてきたエクササイズは与えられたタイムフレーム(ほとんどの場合2時間以内)で行うことができるように設計されていなければなりません。
面接試験対策に関して
実は、面接試験で聞かれる内容は「ほぼ」決まっています。そして、十分に事前に準備をすることが可能です。
例えば、どのような質問を受けるのか詳しくは下記の質問集をまとめた記事をご覧ください。
以上、「国連の人事制度:書類選考後の筆記試験や面接に関して」でした