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国連でテクノロジーをどう活用するか Vol.1「チャット」

※これはあくまで私が関わっている国連アジア太平洋社会委員会での経験であり、UNDPやUNESCOなど全ての国連に当てはまることではありません。

まとめ

  1. 国連の内部でのコミュニケーション手段は対面コミュニケーション・電話・メールが中心
  2. Slackなどのチャットツールを導入するとどうなる?
  3. 小さな余分な時間が結果的に多くの労力をもたらす
  4. チャットで新しいコミュニケーション文化が生まれる
  5. 国連で導入するためには三つのポイントがある
  6. エリートに効率性をもたせて国連の目的達成に近づける

国連のコミュニケーションを考える

国連で働き始めてから11ヶ月が経とうとしています。様々な働き方を見てきて、何のテクノロジーをどのように導入すれば国連がより早くその目的を達成するのに役立つのかを考えています。日々、様々な情報が入ってきますが、仮にあるテクノロジーを国連に導入したらどのような効果が期待できるか、何回かに分けてブログに投稿していきたいと思います。今回は国連の連絡手段、コミュニケーションについて考えます。

 

主なコミュニケーション手段は対面・電話・メール

僕が国連に来て一番驚いたことがコミュニケーション手段でした。対面コミュニケーション、電話、メールが基本です。ただ、仕事の効率性を考えるとあまり良くないと考えています。プロジェクトに関係する人数が多くなるほど、同じチーム内での情報共有が困難になるし、口頭での説明では内容を忘れてしまう人も出てきます。メールのCC忘れや、そもそもメールを読まない人もいるでしょう。

 

国連においてまともなチャットツールを導入すべし

上記の問題を改善・解決するためには、僕は国連において、スタートアップ企業のデファクトスタンダードになっているクラウドチャットツールを導入することを提唱したいと思います(実際に導入に向けて内部調査中)。クラウドチャットツールは、例えばSlack, Chatwork, Flowdockなどがあります。

Slack: Where work happens

Slack brings all your communication together in one place. It’s real-time messaging, archiving and search for modern teams.

チャットワーク(ChatWork)|ビジネスが加速するクラウド会議室

チャットワーク(ChatWork)は、あなたのビジネスを加速するために生まれたクラウド会議室です。

ESCAPのチャットツール

今国連のESCAPはSametimeというチャットツールを使ってますが、これが酷いのですよね。。。無いよりマシですが、ログが残らない(わざわざ設定が必要)、相手がオンラインにならないとメッセージが送れないなど、痒いところに手が届かない仕様です。そのため、一部の人しか使っていない。殆どの人はLineを使ってコミュニケーションをとっています。タイにおいて一番はやっているチャットツールというのもありますし、オフィシャルなツールよりも早くて断然便利だというのが主な理由でしょう。

チャットを導入するとどうなる?

もし仮に全員がチャットプラットフォームを中心に仕事をすると、仕事の効率が高まるでしょう。何故なら、電話をする回数やメールのCC忘れが減りますし、情報の共有も簡単、休暇に出ていたとしても過去の会話を見れば現在どのような位置にいるのか知ることができます。また、頻繁にある海外出張の際にも、現状を知ることができますし、指示出しも可能です。人によってはスマホだけで仕事ができます。結果的に、そのプラットフォーム上の会話に集中すれば仕事がスムーズになります。電話を受けることによって仕事を邪魔されることもないでしょう。このことを言うとビックリされる時があるのですが、過去の職場では隣に人がいても、会話をチャットプラットフォーム上で行っていた時もありました。アイディアをそのプラットフォーム上にいる人全員と即座に共有できましたし、何よりも聴覚に意識を集中しなくても済みます。僕の場合、聴覚に意識を取られると、キーボードを打つことができなくなりますので(笑)、仕事の効率が下がってしまいます。コミュニケーション手段がパソコン上の画面だけで済むのならば、複数のプロジェクトも同時にこなすことができます。チャットツールを導入することで、よりパソコンに集中しやすくなります。また、Lineなどの非公認ツールの抑制につながります。

小さい余計な動作が時間を浪費する

対面でコミュニケーション取る時は、わざわざその人のところに行くための移動の時間があります。電話だったら、ダイヤルしている時間がかかります。メールではRegardsや自分の所属情報など本来の主旨とは関係ない言葉を打ち込むこともあります。メールはメッセージの検索性に優れないため、検索にも時間がかかります。時間がかかると言っても10秒に満たないことが殆どでしょう。ただ、本来あまり気にしなくても良さそうなところが数多くあるので、結果的に多くの時間を要してしまいます。こういうのを少しずつ削れるといいのではないかと思っています。

チャットによる新しいコミュニケーション文化

「りょ」というメッセージの意味

例えば、ある会社は独自の暗黙のルールがあります。文字の短縮です。チャットツールを使って、「了解です。」という意思表示をするときに「りょ」とだけ書いて投稿します。タイピングすると三文字ですが、これがこの会社のスタンダードになり、コミュニケーションの能率が上がり、結果的に仕事の効率も上がっったと言います。なぜなら一瞬で「承知した」意思表示をし、すぐに仕事に戻ることができるからです。コミュニケーションに余計な労力を使わなくて済むからです。労力が削がれる分、新たなコミュニケーションの取り方が生まれます。

最近のチャットツールの拡張性

また、他のサービスへの拡張性も優れているので、自分の仕事をしやすいようにカスタマイズすることができる。例えば、僕は情報収集で、自分が欲しい情報が出てきてら自動的に知らせるように設定しています。また、僕が尊敬してやまない増井雄一郎(TORETAのCTO)さんは「みやもとさん」という勤怠管理botを作成し、簡単に勤怠管理できるようにしています。TORETAという会社では下記のようにSlackに拡張性をもたせているようです。

トレタでの「slack」活用を紹介してみる – @hitoshi annex on hatena

おかげさまで、トレタもコツコツ導入実績を積んで、少しずつ会社らしくなってきました。 気づけばメンバーも20人を超えてオフィスの席が足りなくなり、恵比寿にもお引っ越ししました。(お引っ越しについてはまた別の機会にでも書きます) 会社には、その規模とかステージに応じた情報共有環境が必要になるんだと思うのですが、今回はトレタでのslack(チャットサービスです)の活用についてご紹介してみたいと思います。 たかがツール、されどツール。ツールが変わるだけで、仕事の仕方とかコミュニケーションの形もガラッと変わるんですよね。で、トレタもslackのおかげで仕事から会社の雰囲気まで、いろいろなことが大きく変わ…

また、Slackではアイディア次第でこんなこともできます。

最近、Slackの「bot」が何でも出来過ぎて「カオス」状態になってる件!

どうも、まさとらん(@0310lan)です!みなさんは、チャットによるチームコミュニケーションツールの「Slack」を使っているでしょうか?早い段階か…

楽に楽しく仕事をする

面倒な勤怠管理もTORETAさんのように行えば、楽しく楽に管理することができます。タイムカードもいりません。僕はテクノロジーは人間の生活を豊かにすると考えています。些末で且つ面倒臭い仕事はテクノロジーに任せ、自分の本業に専念できるようにする。例え数秒の作業でも、それが積み重なれば多くの労力になります。自分の本業に専念できるようになるだけでなく、拡張性を持たせることによって自分の本業をさらに強めることも可能です。同じチャットのプラットフォーム上で飛行機情報を調べさせることもできますし、スケジュール管理、タスク管理も可能です。様々なことが一つのプラットフォームでできるようになることで、より楽に楽しくできるようになります。テクノロジーと融合した新たなコミュニケーションがそこに生まれます

国連で導入するにあたって何が必要か

国連で新たなツールを導入するには幾つか乗り越えなければならないことがあります。

1. 国連のポリシー

国連で使うためには国連のスタンダードに登録されることが必要。その為にはOICTというIT専門のオフィスに申請する必要がある。申請する際に、その対象サービスが国連のポリシーに沿うかどうかが問題になってきます。

2. 新しい文化の創出

今までメール・電話で働いてきた人たちにとってチャットを使った働き方は馴染みがないでしょう。特に上の年代の人たちはその傾向にあるのではないでしょうか。そのため、これを導入することによりどのような有益な効果をもたらすのかプレゼンをし、またトレーニングもしなければならないでしょう。どのようにチャットのスレッドを管理し、どういう風に使うとチームの作業がはかどるのか等を色々説明する必要があるでしょう。

3. 働き方を変えたくない人がいる?

おそらく、働き方を変えたくない人もいるでしょう。あくまで自分のペースで仕事をし、効率は関係ない、情報の共有も関係ない、面倒という人もいるでしょう。おそらく、ここが一番苦労する点になるでしょう。

実は導入実例がある

実は国連に導入事例が既にあります。そこではFlowdockを使っているようですが、使っているツール群を聞いてみると割と自由に導入しているようです。同じ国連でも色々違うものなのだなぁとびっくりしていますが、こういう導入実績があると他の国連でも導入につなげやすい?かもしれません。その効果の如何によっては他の国連組織における説得材料になるかもしれません。

エリートに効率性をもたらすと・・・

国連までくると人数も相当数いますから、導入するだけでも一苦労でしょう。ただし、こう言った少しずつでも仕事を効率的にできるツールを次々と導入し、浸透させることができたらより中のプロジェクトがよりうまくまわるようになるでしょう。もともと多くの試練を乗り越えてきた猛者達がいる組織ですから、効率性が上がることでの相乗効果は凄まじいものになるのではないか(より早く国連の目的を果たせるのではないか)と期待しています。

 

次回記事

次は、SNS連携について書きます。

国連でテクノロジーをどう活用するか Vol.2「SNS連携」

私が思う国連で導入したらいい技術を記事にしています。今回はSNS連携です。特に採用サイトにおいては是非ともSNS連携をすすめてもらえればと思います。
亀山 翔大
亀山 翔大
東京都出身。MBA。Project, Program, Portfolio Managementを専門。PMOとして働きつつ、イギリス大学院でサイバーセキュリティを学ぶ。前職である国連にて国連世界ICT戦略遂行、国連グローバルPMO推進。UN KUDOS! Award 2019優勝。プロジェクト(プログラム)マネジメント(PRINCE2/MSP)、サイバーセキュリティ(NIST CSF)等の資格を有する。 プロフィール詳細はこちら

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