国際連合のベンダーになる
国際連合に来てからいくつか疑問に思ったことがあります。いくつものベンダーの人たちと接してきましたが、この方達はどうやって国連のベンダーになったのかと。今回は国際連合のベンダーになる方法をご紹介致します。また、その時の注意点も明記しましたので、提案する際にこれらの点をおさえて頂ければと思います。
どんな仕事があるか
ベンダーと言っても求められる仕事内容は多岐にわたります。飲料水関連、飛行機のチャーター、Xレイのレンタル、会議システムのアップグレード等あります。試しに下記のURLに訪れて今後今回される予定のものも含めて公開されているものを見てみましょう。
リンク:https://www.un.org/Depts/ptd/tender
ベンダーになる方法
ベンダーになるには登録が必要ですが、まずは下記のことを押さえておきましょう。
ベンダーのレベル
ベンダーになるために、受注する額によって応募できる案件とそうでない案件があります。下記の三つのレベルに分かれます。
ベーシックレベル
条件:推定される契約額が40,000米ドル以下であると推定される場合
下記の情報をオンライン上で登録申請する必要があります。
- Company Name, Company’s most senior official, Company type, License number, Country/Area, Telephone number, Number of employees
- Company address
- Registration type
- Contacts: including name, title, telephone, e-mail, etc.
- Commodity Codes (UNSPSC)
- Declaration of eligibility
レベル1
条件:推定される契約金額が500,000米ドルまでであると推定される場合
まずは、下記のドキュメントがPDFで必要です。
- Current certificate of incorporation or equivalent document verifying legal status/capacity*.
上記に加え、下記の情報をオンライン上で登録申請する必要があります。
- Same as for Basic plus:
- At least three references
- Company information such as company ownership
- *Note: The vendor must be in business for a minimum of three years.
レベル2
条件:推定される契約金額が500,000米ドルを超える場合
下記の情報をPDFで提出する必要があります。
- Same as Level 1 plus:
- At least three reference letters
- Financial documents including Income Statement and Balance Sheet (audited financial statements or equivalent) for the last three years to be submitted with Auditors report or External Accountant Report.
まずはレベル1に登録を
国連としてはまずはレベル1での登録をオススメしています。40,000ドル以下のみしか申し込む予定がない場合はベーシックレベルへ。レベル2にはいつでも更新できます。
ベンダーとして登録
登録はUNGM(United Nations Global Marketplace)のウェブサイトにて行います。こちらで新しい入札案件が出てきた場合にメール通知をする機能もありますので、そちらの機能も活用するといいと思います。
提案資料を提出する際の注意点
提案資料を提出する際に気をつけることを書きます。世界広しといえども、結構基本的なところで躓く会社があるのでご注意ください。
提案書にはしっかり要件の内容を書くこと
提案書にはしっかりと提案の要件を書きましょう。会社の紹介と簡単なロードマップだけ出す会社がありますが、要件の内容を文章で書くことは必須です。
提案書を読んでいるアピールが必要
提案書の中には、果たしてこの提案書はしっかり中身を読んでる?と疑問に思うような提案書があります。こちらの要件が伝わっているのか、どの程度おさえているのか分からないと、その会社の実行力を判断することができません。
レファレンスとなるものは多めに提示しておく
レファレンスになるものは、中にはレファレンスとして相応しくないと判断するものも出てきます。中には基準値よりも多くレファレンスとして認められた場合多くの点を付与することもありますし、そのレファレンスに対して複数の観点から査定する場合もあります。もし、部分的にしかそのレファレンスを満たしていないと思ったら、他の部分を補完できるレファレンスがあれば追加で提出するといいかもしれません。
評価者の知識を当てにする提案書は書かない
例えば、ある提案をする時、仮にあなたの提案する内容が業界のスタンダードだとして、素晴らしい設計図やその製品の詳細を書いた資料を提出したとします。それが設計図と製品詳細を書きなさいとピンポイントで指定されていればいいのですが、そうではないもっとハイレベルな内容を求められていた場合、しっかりと説明をする必要があります。技術者にとってはその提案内容が素晴らしいとわかるかもしれませんが、必ずしもその設計図の意図や製品のことを詳細にわかる人が監査するとは限りません。ベンダーに案件を投げるのは、国連が組織として賄えない知識や技術を代わりにやってもらうためにお願いすることですので、しっかりとその内容の意図等をその中に書く必要があります。中には限られた時間で提案をしなければならないかもしれませんが、査定者の知識を当てにした内容で書くと査定者も困ってしまいます笑 せっかく詳細に作ったものでも評価されずに終わってしまうかもしれません。
評価のポイントが明記されている場合はそれをしっかりとおさえた提案を
評価のポイントが既に明記されている場合は、その評価ポイントをしっかりとおさえた提案書を作りましょう。明記されている評価ポイントは、全て詳細に点数化されると思ってください。仮にその評価ポイントの中に「全てをカバーしていること」と書いてあったら、全てをカバーした提案書を作りましょう。
現在登録されている日本のベンダー
現在登録されている日本のベンダーです。21社日本より選ばれています。(2016年7月)
# | Vendor Name | Country |
1 | Alternative InvestmentCapitalLimited | Japan |
2 | Hakuhodo Incorporated | Japan |
3 | Happy World Inc. | Japan |
4 | I and A Corporation | Japan |
5 | J. Gerber & Co., (Japan) Ltd. | Japan |
6 | Japan translation Center, ltd. | Japan |
7 | Lilycolor Corporation | Japan |
8 | NEC Corporation | Japan |
9 | NIKKO ASSET MANAGEMENT CO., LTD. | Japan |
10 | Nippon Express Co.,Ltd. | Japan |
11 | Nissan Motor Co., Ltd. | Japan |
12 | Nissan Trading Co., Ltd. | Japan |
13 | NTT DATA CORPORATION | Japan |
14 | Ogura & Co., Ltd | Japan |
15 | OLYMPUS CORPORATION | Japan |
16 | Overseas Merchandise InspectionCo., Ltd. (OMIC) | Japan |
17 | OYO Corporation | Japan |
18 | SIRIUS CORPORATION | Japan |
19 | SKY Perfect JSAT Corporation | Japan |
20 | Sumitomo Fudosan Villa Fontaine Co.Ltd | Japan |
21 | TRY Co., Ltd. | Japan |
引用元:UN Secretariat Registered Vendors
今後、日本の会社がベンダーとしてどんどん増えていくといいですね。
参考:https://www.un.org/Depts/ptd/welcome-united-nations-procurement-division-unpd