ホーム国際連合国連職員になるには

国連職員になるには

※ 長文コンテンツです(今後も加筆しどんどんボリュームが増える予定)。ブックマーク等してゆっくり読んで頂ければと思います。

[toc]

果たして国連に入るのは難度が高いのか

国連に働いて来て現在思うのは、果たして国連で働くことは世間一般に考えられてるほど難易度が高いのか、ということです。どこサイトも難易度が高い高いと表現していますが、僕は「そもそも日本人として実際に挑戦する人の母数が少なく、結果として日本人の合格者情報が世に出回らず、知名度が高いことにも起因して難易度が高い印象を抱かせている」のだと思っています。

国連スタッフとして働きたい、就職したいという方が世界中で多くいる中で、日本人は国連職員になる上で、他の国の人々よりも比較的に優遇されていると考えています。その理由を「国際連合で働くことを考えている方へ」で述べていますので、こちらの記事も合わせてご覧ください。

関連記事 >> 「国際連合で働くことを考えている方へ

 

情報収集が鍵

僕はこの国連職員になるための鍵はどれだけの情報を持っているかだと思っています。

この記事の要約

  1. 国連の職員としてのポジションは一種類ではありません。国際的に活躍したいならP(若しくはD)スタッフ、ずっと一つの国に留まって働くならGスタッフかNOスタッフ、フィールドで働くならFSスタッフです。ただし、Gスタッフとして働くと、Pスタッフになり辛いという欠点があります。
  2. 語学力は必須ですが、採用における明確な基準はありません。英語はほぼ必須。他の国連言語(フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語、アラビア語)を使えると書類選考時加点されることが殆どです。また、英語が堪能であることと指定されているポジションに対して堪能以外を選ぶと自動的に落とされます。謙虚にならず、堪能であると書くべきです。
  3. 学歴は修士号がほぼ必須です。大学の知名度は関係ありません。学部・専攻によって、受けることができる求人が変わります。(実際には全ての職に応募できますが、専攻に指定されたもの以外の分野で受けると、自動的に書類選考時に排除されます)
  4. 職歴は一部の制度を除き、ほぼ必須です。
  5. 学歴と職歴に一貫性が求められます。
  6. 国連機関での職務経験があると加点されることがあります。
  7. 国連事務局、プログラム系の機関と数多くの応募サイトがあり、残念ながら一つにまとまっていません。後にリスト化してありますので、そちらをご覧ください。
  8. 尚、求人情報がまとまっている便利なサイトもありますので、そちらも紹介します。
  9. 国連で働くためのキャリアプラン例
  10. 国連の職に応募するにあたって必要なもの
  11. 国連の選考過程

 

ロングスパンでの人生設計が必要

以上のように、ほぼ必須なのが学歴と職歴(と語学力)です。国連職員は難易度が高いいうよりも、その受かる基準になるまでの条件が多いということがあげられます。そのため、国連職員になるためにはある程度長いスパンで人生設計をする必要があります。

学歴は修士号をはじめから、視野に入れましょう。一年で卒業できる大学院や、奨学金でとれるところもあります。(平和学であれば、ダブルマスターがとれ、かつ生活費含めて給付される制度があります)。職歴は自分の進みたい分野の仕事につきましょう。可能であれば、国連インターン、国連ボランティアなどの経験があるといいでしょう。たとえローカルスタッフであっても修士号を持ってる人が相当数います。

国連インターンは無給のところが殆どですが、UNOPSやILOのように有給のインターンもありますので、自分の生活費を考えてインターンを選ぶのもいいと思います。国連ボランティアは有給です。ボランティアと聞くと無給なイメージがあると思いますが、寧ろ裁量が与えられ良いポジションでもあるようです。国連ボランティアになる方法もいくつかありますので、国連での職務経験を得るには良いと思います。

関連記事 >> 「国連のインターンシップを勧める三つの理由
関連記事 >> 「国連インターンシップの応募条件

求人を探すのには少しコツがいりますので、後ほど紹介します。

 

国連職員の種類

特別なポジションを除けば、一般的に国連職員と言われるポジションは5つあります。管理職、専門職、一般職、フィールドスタッフ、国家職員。

管理職、専門職、フィールドスタッフが日本における一般的なイメージの国連職員を指すかと思います。いわゆる国際職員です。様々な国で働くことが求められています。

関連記事 >> 「国連職員の給料 管理職・専門職・上級職編

一般職員はいわゆるローカルスタッフのことを指しますが、必ずしも勤務地が日本である必要はありません。ただし、基本的に一般職であれば特定の勤務地で働き続けることが要求されます。もし、ある特定の土地で働き続けたいという方は一般職が適当であると言えるでしょう。ただし、給料や福利厚生の面では国際職員と大きく異なりますし、国際職員への転職へのハードルが高いので、その点は注意する必要があります。

関連記事 >> 「国連職員の給料 一般職編

国家職員は、国際職員と一般職員のハイブリッド型で、求められるレベルは専門職と同等のレベルですが、一つの勤務地で働く職員です。給料、福利厚生も一般職よりも優れていますが、勤務地によってはその数が圧倒的に少ないことがあります。

 

語学力は堪能であることが求められるが、明確な基準はなし

国連で働く上で、語学力が堪能であることが求められますが、どれほどのレベルなのかという明確な数字は示されていません。そのため、TOEICやTOEFL、IELTS等でどれぐらいのレベルを持てば良いという基準は定められていません。国連内部でLPE(Language Proficiency Exam)という語学試験がありますが、こちらはスタッフになってからでないと受けられないので、実質国連システムで働いたことがない方が語学力を証明するには、書類の書き方や面接での受けことたえ程度になるでしょう。書類や面接での対策は十分にできますので、実質的に語学力の証明はないに等しい(面接官次第)というのが現状です。国連の勤務地によって異なりますが、英語がほぼ全ての勤務地で使われ、フランス語がさらに追加される勤務地があります。キャリアプランによりますが、まずは英語力を鍛え、余力があればフランス語等の国連公用語を習得しましょう。国連公用語を複数流暢であると書類選考の際に加点されます(基礎レベル、ビジネスレベルでは加算されない、流暢であることが加点の条件)。

ただし、外務省人事センターが行なっている国連職員への登竜門JPO制度では英語スコア(TOEFLかIELTS)の提出が求められる

国連側が言語の試験を課すことは、IMOFAO、WFP等を除きほとんどの国連機関ではありません。ただし、国連職員になるための登竜門であるJPO制度ではIELTSかTOEFLの英語スコアの提出が求められます。現在の国連職員の多くはこのJPO制度を利用して国連職員になります。今後も外務省はこの制度を強化していくことが想定されますので、何れにせよ英語力の強化は必要です。

関連記事 >> 「JPO とは国連職員になる上での登竜門的な派遣制度

 

学歴は一部注意が必要、大学院卒であることが望ましい

国連職員の種類によって求められる学歴が異なります。一般職は高卒以上、国際職員は大学卒もしくは大学院卒です。ただし、一般職であっても大学院卒の候補者がたくさんいる関係もあり、実質的に大学院卒が求められるといっても過言ではないでしょう。「国連職員の選考で出身大学の有利不利はありますか」にも述べておりますが、選考過程において出身大学名は「ほぼ」採用に関係がありません。「ほぼ」と書いてのには理由があり、国連機関によってはある基準を満たす大学である必要があるためです。WHED(World Higher Education Database)に大学が載っているか、また将来働きたい国連組織の応募フォームに対象の大学名があるか等予め確認しておきましょう。(これは10分もあれば確認ができます)また、大学の学部によって応募できる職種が変わってきますので、自分が将来進みたい専門分野の学部や専攻を選ぶようにしましょう。少なくとも自分の方向性をしっかりと考えておきましょう。

関連記事 >> 「国連職員の選考で出身大学の有利不利はありますか
関連記事 >> 「国連職員になりたければ、最初から大学院を視野にキャリアプランを

海外経験はあるに越したことはないと思いますが、(書類上は)必須ではありません。もしあなたに海外経験がある場合は、それをカバーレターなどでしっかりとアピールしましょう!

国際的な環境下での経験を求めているポストもありますので、その経験を活かすことができるでしょう。

 

学生のうちに勉強・経験しておくべきこと

1.語学: 英語またはフランス語を磨く。TOEFLは600(iBTの100)を超えるレベル、IELTSで7.0のレベルを目指す
2.学位:修士号以上の学位 ※一部例外あり
3.専門性:開発、平和学、経営管理、環境、経済、法律、金融、情報システム等、専門を持つこと
4.資格:応募する分野の資格があると加点される場合がある
5.その他:可能であれば、国連インターンシップで実際の国連の内情を掴むようにする。また、TOASTMASTERSクラブでコミュニケーションスキル、プレゼンスキル、リーダーシップスキルを身につけると良いでしょう。

 

資格はあると尚良し

資格は自分のスキルを客観的に表明するのに役立ちます。情報システムであれば、ITILやISO20001や27001。プロジェクトマネジメントであれば、PRINCE2やPMP。会計であればCPA、監査であればISO系のLead/Internal AuditorやCIA等が挙げられます。

国連の職種やポジションによっては、明確にこれらの資格があると良い(加点される)と書いてあります。

例えば、私は国連で推奨しているプロジェクトマネジメント資格PRINCE2を取得しました。私がこのPRINCE2の資格した理由は、「業務で使うため」とPRINCE2を持っていると様々なプロジェクトマネジメント系のポストで書類選考の際に加点されるためです。自分を売り込む上で役に立ちそうです。

関連記事 >>「国連で推奨されているプロジェクトマネジメントフレームワーク「PRINCE2」

時間と金銭に少し余裕ができたら、対象分野の採用情報等を見て、戦略を立てて見ましょう。また、大学の教授に国際的に認知されている資格はあるか等の質問をしてみるといいでしょう。資格もオンライン・オンサイトトレーニングと数多くありますので、時間と懐事情によって計画を立てるといいでしょう。資格によっては週末だけで取れる資格もありますので、あまり身構えずに計画すると良いと思います。

 

職歴はその応募分野に相当する経験が必要(国連事務局のYPPは除く)、また学歴との一貫性もなるべく持たせましょう

ほぼ全ての国連職員では関連する職務経験が求められます。数年からのものから15年以上のものまでと様々です。ただし、自分の職務経験もみる視点を変えると、対象のポジションの応募条件を満たす場合もありますので、応募ポジションの分析は必要です。全く国連での勤務経験がない方も、ご自身のキャリアでいきなり国連職員の高いポジションにつく方もいます。自分のキャリアを見つめ直して、国連に飛び込むというのも一つの道でしょう。

また、学歴と職歴、そして応募先の職種に関して一貫性が求められます。全然バラバラであったりすると、(学歴・職歴で一貫性を持った候補者が沢山いることが考えられるので)選考に不利になる場合がありますので、ご注意ください。

ほぼ全てのポジションで職務経験が必要ですが、国連事務局におけるヤング・プロフェッショナル・プログラム(通称YPP、ワイピーピー)では未経験の方でも応募が可能です。YPPは多くの国連組織が実施しており、組織によって応募資格は様々です。 詳しくは「(まとめ)ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)を実施している国際機関一覧まとめ」の記事をご覧ください。

関連記事 >> 「(まとめ)ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)を実施している国際機関一覧まとめ
関連記事 >> 「(保存版)ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)の学習資料
関連記事 >> 「国連のYPP筆記試験を受けて来ました(2017年度)
関連記事 >> 「ヤング・プロフェッショナル・プログラムの受験体験記を書いている記事まとめ

 

女性の活躍に関して

国連では国籍・人種・宗教・男女(ジェンダー)等で区別なしに採用されます。実際に日本人の国連職員は女性の方が多く、中には高いポジションで働いている方もいます。数多くの女性が活躍する一方で、高いポジションへの登用に関してはまだ課題が残ります。2018年現在も引き続きジェンダーバランスを改善すべく国連改革が進んでいます。

国連全体として、ワークライフバランスを重視しており、家族・産休育休・自宅勤務・有給休暇等に対する理解が当たり前のようにあり、働きやすい職場と言えるでしょう。その代わり、競争が激しく、人によっては常に多くのポジションに応募している状況です。ポストの応募状況によっては、他の国へ転勤せざるを得ない状況も出てきます。家族の理解、子供の教育という面で苦労する方もいるます。国際的な舞台で生活するが故の悩みとも言えるでしょう。

 

国連で働くためのキャリアプラン例

高校生のうちにできる準備

英語力をとにかく伸ばすことを意識してください。今のうちに英語を勉強しておくと、一生そのスキルがいかせます。語彙力(語彙力を伸ばすオススメの記事もありますので、そちらもご覧ください)を伸ばし、英語のリスニングとスピーキングも伸ばしましょう。僕は1000時間ヒアリングマラソンという教材を使って、高校時代3ヶ月でTOEIC100点近く点数を伸ばしました。

関連記事 >> 「3ヶ月でTOEIC試験の得点を100点以上あげた時の話
関連記事 >> 「英単語は3秒で覚える。英語ができないのはハンデ?国連業務で求められる語彙力?

将来活躍したい分野について調べましょう。国連は色んな分野の仕事があるので、自分の興味のある分野からどんな仕事に携わることができるのかを考えると良い。開発に関わりたいのか、人道、IT、会計、平和、セキュリティ等様々な分野が考えられます。

国連の歴史やどんな機関があるのか、調べておくとずっと役に立ちます。もしかしたら、「自分の興味のある分野の仕事をするにはこの国連機関で働くといいかもしれない」といったことが見つかるかもしれません。

やりたいことがわからない場合。中には、自分の将来やりたいことがおぼろげになっている方もいるかと思います。そんな時にオススメなのが、「やりたいリスト100」を書いて、カテゴリー分けする方法です。私はとにかくやりたいことに全て挑戦してきました。そしてそのやりたいことがわからなくなったときにこの方法を使っています。劇団四季や国連で、全く違うキャリアを経験した今だからこそ言えるオススメの方法です。

関連記事 >>「自分の本当にやりたいことを見つける方法。劇団四季から国連に行った著者のやり方

大学を選ぶ上での学部選びはとても重要です。国連には、学部卒でも国連職員になることができる道が用意されています。その際には、学部が重要になります。上述のように大学の知名度は関係ありません。ただ、相対的にレベルの高い大学卒の方が国連に集まる傾向にあります。将来のために妥協せず、しっかり勉強しましょう。

大学を選ぶ際に、大学生ながらも国連で働く経験を得られる国連ユースボランティアの認定大学から選ぶのも一つの手かもしれません。

関連記事 >>「学部生で国連機関で働く『国連ユースボランティア』

もし、学部選びに苦労する場合は、実際に求人情報を色々見て見て、どんな学部を卒業する必要があるかチェックしてみるのもいいかもしれません。

また、留学を考えている場合は、トビタテ奨学金も考慮に入れるといいと思います。

関連記事 >> 「全額支給留学プログラム等の制度を3つ紹介

 

大学で準備できること

上記に加えて、すぐに国連職員になれるように、YPP試験の準備を始めましょう。国連には大学卒業後に受けることができる新卒採用的な制度、ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)があります。この試験は32歳になるまで自分の専攻が合えば、毎年受けることができます。

早期卒業制度(3年で学部の勉強を終え、四年目で大学院に進める制度)があれば検討しましょう。YPP試験の過去問等は、ypun.orgなど情報を購入することができます。

毎年careers.un.orgにてYPP試験の詳細を発表してますので、自分が応募できる分野を確認しましょう。YPPは毎年異なる職種を応募してますので、できれば毎年6月7月ごろチェックしておくと良いと思います。「(保存版)ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)の学習資料」を参考に、どんなことを勉強すべきなのかを知っておきましょう。

関連記事 >> 「(保存版)ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)の学習資料

また、「国連インターンシップの応募条件」の記事にも記しましたが、四年生になると国連インターンに応募できます。日本で国連インターンをするというのも手ですが、UNOPSやILOのように有給でしかも海外で経験を積むのも一つです。尚、できればフルタイムで働くのが良いと思います。フルタイムで働くと、後々JPO試験を受けるときに考慮に入れてもらえる可能性があるからです。

関連記事 >> 「国連のインターンシップを勧める三つの理由
関連記事 >> 「国連インターンシップの応募条件

大学院の進学を考える際は、様々な方法があります。世の中には様々な奨学金があります。(JICAも視野に入れてるのであれば)JICAの制度を通して大学院に行くという手段もありますし、一年で終了できるイギリスの大学院に行くのも手の一つです。JICAの奨学金制度に関しては下記の記事をご覧ください。また、オーストラリアの大学院であれば多額の奨学金が給付される制度もありますので、「オーストラリアの奨学金を調べてみると待遇の良さに驚いた(1000万円以上の給付も)」の記事も一度ご覧ください。

関連記事 >> 「全額支給留学プログラム等の制度を3つ紹介
関連記事 >> 「オーストラリアの奨学金を調べてみると待遇の良さに驚いた(1000万円以上の給付も)

大学院進学はなるべく早いうちに取得しておくといいと思います。大学院を修了することで、JPOの受験資格のうちの一つを達成できるためです。

もし、就職する場合は、自分の学歴とこれから就く職種に一貫性を持たせると、国連の職に応募する際に自分の強みとなります。

大学院のうちにできる準備

大学院時は毎年できればYPPに応募しましょう。詳しくは「国連職員になる方法 後編」でも紹介していますが、YPPは32歳まで限定で受けることのある試験です。場慣れも含めて、早いうちから経験しておくと良いと思います。また、インターンも積極的に体験し、内部情報を取得しましょう。中にいるのと外にいるのとでは大分情報量が違います。インターンは場合によって、そのままコンサルタント(もしくはコントラクター)として採用される可能性もあります。できるだけ次のチャンスを掴みましょう。

関連記事 >> 「(まとめ)ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)を実施している国際機関一覧まとめ
関連記事 >> 「(保存版)ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)の学習資料
関連記事 >> 「国連のYPP筆記試験を受けて来ました(2017年度)
関連記事 >> 「ヤング・プロフェッショナル・プログラムの受験体験記を書いている記事まとめ

YPP制度を除くと、国連職員になるためには職務経験が必要です。就職は自分の進みたい分野の仕事ができる場所を探しましょう。もし、既に2年以上の職務経験を有していれば、HPC制度を通して国連ボランティアになるのも一つの手です。

就職後(社会人になって)の準備

JPOも含めて殆どの国連職員は2年以上の職務経験が必要です。まずは二年間働き、その間にJPOとして働くための準備、具体的には英語の勉強を(TOEFLかIELTS、余裕があれば国連英検特A級)しましょう。過去のJPOの実績を見ると、合格者の平均点はTOEFL100点、IELTS 7点を少し超えたあたりでした。

関連記事 >> 「JPO とは国連職員になる上での登竜門的な派遣制度
関連記事 >> 「JPOの給料(年収)は国連のP-2に相当する額が支払われます | P-2とは

職務経験を2年つみましたら、「広島平和構築人材センター(HPC)のプライマリーコースで国際機関の経験を積む」ことも一つの選択肢としてあげられます。HPCのプライマリーコースは国内研修のあと、国際機関で1年間の経験を積むことが可能です。また、JPOの応募書類のアドバイスもいただけるようです。国際機関での経験をいち早く積みたい方や、将来JPOに応募するかたにオススメのコースです。

関連記事 >> 「広島平和構築人材センター(HPC)のプライマリーコースで国際機関の経験を積む

もし、まだ大学院に行っていない場合は、2年の職務経験を持っていると受けることのできる全額奨学金給付の制度に応募できるようになります。APS(Asian Peacebuilders Scholarship)という制度なのですが、19~22ヶ月で二つの修士号を取得することができます。また、HPC制度を通して国連ボランティアの職務経験を積むのもいいでしょう。

関連リンク >> Asian Peacebuilders Scholarship

 

国連の仕事の探し方(UN Job Siteで探す)

国連といってもとても多くの組織が存在します(http://www.unic.or.jp/files/organize.pdf)。国連事務局、補助機関(UNDPUNICEFUNFPA、UNOPSなど)、専門機関(FAOILOIMF、UNESCOなど)多くの組織があると同時にそれぞれ異なる採用プラットフォームを持っています。コアとなる部分は同じでも、それぞれ微妙に異なる体制をしいています。この関係もあり、採用情報もそれぞれのウェブサイトにて募集しています。これは国連の職を探す人にとってはとても大きなハードルだと思います。

国連の職探しがしやすいように、UN Job Siteという国連職探しのプラットフォームを作りました。作った動機や機能の説明をこの「UN Job Siteを3ヶ月間運用して見て」に記しましたので、詳しくはこちらのリンクをご覧ください。

関連リンク >> 「UN Job Site

国連の採用の仕組みを知りましょう

国連で働くためには、様々な方法がありますが、予め国連の採用の仕組むを知っておくのは大変有益なことだと思います。下記に採用の流れや必要な書類、どう対策するか等書いていますので、関連記事も含めてお時間があるときにお読みください。

 

あらかじめ用意するもの

多くの場合下記のものが求められます。

  • 大学や大学院の卒業証明書
  • 資格(あれば)
  • PHP(Personal History Profile)という国連の職を応募するための書類(結構大変なので、早めに準備が必要です。)
  • 3人の推薦者(リファレンス)、前職の上司や大学の教授など自分の実務能力を正当に評価できる人
  • カバーレター(カバーレターの書き方の記事も書いてありますので、必要な時にご覧ください。)

PHPは応募する組織の求人ページで書きます。事前にユーザー登録等が必要なので、時間に余裕を持って準備しましょう。筆者も初めて応募する時に、あまり慣れない形式だったので準備に時間がかかりました。

 

どう選考されるか(国連採用選考プロセス)

大抵は下記のような流れとなります。

  1. 書類選考(スクリーニング)
    ここでほとんどの人が落とされます。その人が応募資格を満たしているかで自動的に選考外の人が振り落とされ、残った人で職務経歴や学歴、カバーレター、資格等がチェックされます。ほとんどの人が落とされるため、ここの書類作成が極めて重要です。そして、この書類選考にて次の審査に進むためには、全ての必須要件と、望ましい要件をなるべくすべて満たす必要があるようです。「あなたの応募書類を今すぐできる改善方法(レジュメ・CV・PHPの書き方)」の記事でどのように書類を作るべきか解説していますので、何回も何回も書き直しながら対応しましょう!
  2. (参考:「国連人事の仕組み:採用でよく聞くショートリスト、ロングリストとは何ですか?」)
  3. 筆記試験(ある場合とない場合がある)
    書類選考に通った人のみが、筆記試験を受けることができます。筆記試験は機関によって様々です。例えば、国連事務局は6つの筆記試験の形式があります。詳しくは「国連組織の筆記試験について調べて見る」をご覧ください。この時点でショートリスト(優先的に審査する人のリスト)が3-5名に絞られます。(参考:「国連人事の仕組み:採用でよく聞くショートリスト、ロングリストとは何ですか?」)
  4. 面接試験
    見事書類選考と筆記試験の選考を通ったら、面接試験となります。Competency Based Interviewという形式です。詳しくは「国連人事の仕組み:コンピテンシーベーストインタビューについて(国連の面接対策)」で述べていますが、各Job Descriptionという求人情報の中にその職に求められるCompetency(資質)が書かれています。このCompetencyにもとづいた質問がなされますので、こちらも別途対策が必要です。こちらの面接で聞かれる質問はほぼ決まっています(「国連採用試験:面接質問集」)また、こう答えるべしというフォーマット(CARL形式)も決まっていますし、加点・減点基準も決まっています。しっかりと準備をし、マイケル・エミリーの動画を見て(「国連の面接対策をする際にマイケル・エミリーの動画を見ましょう」)、本番にのぞみましょう。
  5. リファレンスチェック
    面接に合格すると第一位の人第二位の人と順位がつけられます。そして、リファレンスチェックが行われます。このリファレンスチェックはその人がどのような人物か、リファレンスとして応募時に記入した人に連絡がいきチェックされます。チェックは電話かメールで行われることが殆どです。
  6. メディカルチェック&前職の在籍確認
    リファレンスチェック後(もしくは同時)に健康証明書を提出することが求められます。病院に行って、一般的な健康証明書(英語)をもらって提出しましょう。また、現職(前職)の在籍確認のための書類を提出することが求められる可能性もあります。

大まかには以上のような流れとなります。これを全て対策するのは大変な作業になりますが、一つずつクリアしていきましょう。

関連記事 >> 「国連採用試験:(書類選考)カバーレターの書き方
関連記事 >> 「あなたの応募書類を今すぐできる改善方法(レジュメ・CV・PHPの書き方)
関連記事 >> 「国連組織の筆記試験について調べて見る
関連記事 >> 「国連人事の仕組み:採用でよく聞くショートリスト、ロングリストとは何ですか?
関連記事 >>「国連人事の仕組み:コンピテンシーベーストインタビューについて(国連の面接対策)
関連記事 >>「国連の面接対策をする際にマイケル・エミリーの動画を見ましょう
関連記事 >> 「国連採用試験:面接質問集

 

特定の組織で働きたい方

実際にどれぐらい組織数があるのか、求人サイトがあるのか下記をご覧いただければその多さを確認できます。これを一つ一つ調べるのはさすがに大変だと思いますが、もし特定の組織で働きたいと決まっている方は、下記の求人ページをご覧ください。

CTBTO 求人ページFAO 求人ページGAVI 求人ページ
Global Pulse 求人ページIAEA 求人ページICAO 求人ページ
ICC 求人ページIFAD 求人ページIFC 求人ページ
ILO 求人ページIMF 求人ページIMO 求人ページ
INTRACEN 求人ページIOM 求人ページITU 求人ページ
MONUC 求人ページOPCW 求人ページSTL TSL 求人ページ
UN 求人ページUN CS 求人ページUN CSD 求人ページ
UN DAM 求人ページUN DDA 求人ページUN DESA 求人ページ
UN DGACM 求人ページUN DPA 求人ページUN DPI 求人ページ
UN DPKO 求人ページUN DSS 求人ページUN DSS 求人ページ
UN ECLAC 求人ページUN ESCAP 求人ページUN ESCWA 求人ページ
UN FIP 求人ページUN HCLDC 求人ページUN ICSC 求人ページ
UN ICTR 求人ページUN ICTY 求人ページUN IOB 求人ページ
UN JIU 求人ページUN JSPF 求人ページUN OCHA 求人ページ
UN OHCHR 求人ページUN OIOS 求人ページUN OLA 求人ページ
UN OPBA 求人ページUN OSAA 求人ページUNAIDS 求人ページ
UNAMI 求人ページUNCTAD 求人ページUNDP 求人ページ
UNECA 求人ページUNECE 求人ページUNEP 求人ページ
UNESCO 求人ページUNFCCC 求人ページUNFPA 求人ページ
UNHCR 求人ページUNICC 求人ページUnicef 求人ページ
UNIDO 求人ページUNIFIL 求人ページUNISDR 求人ページ
UNODC 求人ページUNOG 求人ページUNON 求人ページ
UNOPS 求人ページUNOV 求人ページUNREDD 求人ページ
UNRWA 求人ページUNSSC 求人ページUNV 求人ページ
UPU 求人ページWFP 求人ページWHO 求人ページ
WIPO 求人ページWorld Bank 求人ページWTO 求人ページ

亀山 翔大
亀山 翔大
東京都出身。MBA。Project, Program, Portfolio Managementを専門。PMOとして働きつつ、イギリス大学院でサイバーセキュリティを学ぶ。前職である国連にて国連世界ICT戦略遂行、国連グローバルPMO推進。UN KUDOS! Award 2019優勝。プロジェクト(プログラム)マネジメント(PRINCE2/MSP)、サイバーセキュリティ(NIST CSF)等の資格を有する。 プロフィール詳細はこちら

7 コメント

  1. 私は外国人ですが、日本では応募できますか。修士号の取得も考えていて、難民に関連する仕事がしたいが、それ関連する情報がほしい。

  2. イギリスでの大学院留学を終え、先月帰国しました。留学中は余裕がなくYPPの応募やインターンは全くできませんでしたが、将来的には国連機関で働きたいと考えています。亀山様は国連で働かれる前はIT分野でも職務経験を積まれたと拝見しましたが、具体的にIT分野での経験はどのように役立ったのでしょうか。大学院では国際開発学を学びましたが、何か特定の知識や技術を身につける必要があると考え、IT分野への就職を検討中です。
    帰国のタイミングが悪く、就職活動も厳しい状況なので幅広く業界を見ようと思っているのですが、どのような業界での経験が役立つのか、どの業界での職歴が関連分野での職歴としてカウントされるのかわからないため(もちろん国連機関によって違うことは承知していますが)、何かアドバイスをいただけますと幸いです。

    • 道上理恵様

      コメントありがとうございます。返信が遅くなったことお詫び申し上げます。

      さて質問の内容に関してですが、私は国連内ではIT部門に所属しています。ITを使って国連の平和・人道プログラム等を行うのではなく、ITの事しかやっていません。また、IT部門にて務めるためには、IT分野の学歴が必要ですので、開発学を学んでいる状態でIT部門のポストを獲得することはかなりハードルが高いかと思います。開発分野のポストにおいてITを積極的に活用する形でしたら、問題ないかと思います。

      また、「国連のポスト募集要項に書いてある「関連する職業」とは何か」や「国連ポストの「関連する分野の実務経験」とはどの範囲のことをさしますか?」の記事でも解説をしておりますが、「関連する職務経験」とは「募集されているポストで求められているスキルを使った職務経験」と理解して頂いて差し支えないと思います。

      そのため、考え方としては、その時の需要によって求められる職務経験が変わってくるということだということです。では、具体的にどのようにその求められる仕事を知ることができるの?っていうことですが、例えば私が開発した「国連の仕事を探すプラットフォーム」でご自分の分野の仕事のTORを見ていただいて分析をしていただくしかないかなというのが正直なところです。自分の分野に関するポストの募集要項をいくつかチェックし、何が求められているのかを早いうちから把握して頂き、将来に向けて準備をされるといいと思います。

      ご参考になれば幸いです。コメントありがとうございました。

  3. ご都合のよろしい時にでもご返事をしていただければ、幸いです。
    現在大学1年生です。国連のUNICEFか、WFOあるいは、UNHCRに就職したいです。
    大学院に入る余裕がなく、親にも大学院進学を止められているため、YPP試験を受けて何とか就職したいと思っております。
    そこで、大学在学中にしておくべきことや、IELTSなどのスコアがつくもので受けなければならない試験があれば教えていただきたいです。
    よろしくお願いいたします。

    • 佐藤様

      コメントの返信が遅くなり申し訳ありません。本ブログにご訪問くださりありがとうございます。
      大学一年生(今は二年生でしょうか)のうちから、国連に興味を持って調べていることとても素晴らしいことだと思います。

      まずは大学在学中にできる対策について回答しますね。YPPは他の記事「(まとめ)ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)を実施している国際機関一覧まとめ」でも紹介していますが、様々な国際機関が実施しています。
      [st-card id= 1463]

      今回は国連事務局のYPPということでご説明をさせていただきます(そもそも国連事務局しか説明できないのですが…)。

      まずIELTSなどの英語スコアは必須ではありません。ただ、佐藤さんの英語力を示すという意味ではとても良いと思います。なぜならYPPは国ごとに書類選考通過者の最大人数が決まっており、もしその人数以上の応募が集まった場合に下記の三つの要素を勘案して上から順番に取られていきます。

      1. 学歴
      2. 職歴
      3. 英語力

      そのため、私が考える限り、最初に競い合うのは日本人同士だと思っています。そこで佐藤さんの学歴は学士号で決まっていますので、修士号の人に比べるとスコアが下がってしまうでしょう。職歴も今はまだ積むことができない。ただし、卒業する年からインターンとして働くことができるので、もしよろしければご検討ください。

      残るは英語力ですね。英語力は現在の状況で一番改善のできる(アピールポイントになりうる)ものですので、今のうちにしっかりと英語を勉強しておくといいと思います。IELTSであれば最低でも7.0(できれば8.0)、TOEFLであれば100以上を目指してください。佐藤さんの現在の英語力が高くなくても、大学時代の時間の使い方で十二分に可能なスコアです。

      また、英語で文章を書く場合にAction Verbsをつかって文章をかけるようにしましょう。YPPではとにかく文章を書き続けなければならないので、英語の文章を書けるように何回も何回も練習しましょう。

      あとは、現在通ってらっしゃる大学の勉強をしっかりとすることが重要です。YPPの受験科目は大学・大学院レベルの問題が多く出題されます。そのため、受験する科目を絞っているのであれば、その受験科目の勉強をとにかく気を抜かないで知識を蓄えましょう。

      また、YPPは合格後すぐに働けるわけではありません。そこから場合によっては2年間近く待つ場合があります。大学卒業後すぐに国連で働き始めることはできませんので、働くことを念頭においていただければと思います。参考リンク:「卒業する前にYPP試験を受けて、卒業後すぐに国連に就職することは可能ですか?

      大学院に関してですが、働きながら取得するというのもの一つの手です。一旦社会に出て、働き、お金をためながら修士号をとる(私はそうしました)。給付型の奨学金等もありますので、色々お調べになるといいと思います。仮に、海外の大学院に進む場合、大学時代の活動が影響しますので、いい成績の取得と様々なアクティビティでアピールしてもらえればと思います。

      UNICEFやUNHCR、WFOは国連事務局とは色々違う部分があり、私の知識では大したアドバイスができませんのでここでは割愛させていただきます。

      佐藤さんの今後の活躍を祈念しております。コメントありがとうございました。

国際協力キャリア一問一答 | Ippei Tsuruga へ返信する 返事をキャンセル

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

- Advertisment -